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実体験心霊ホラー

 まだ日も昇っていない早朝。リニアモータートレーンから降車した四人は薄暗い森の中を歩いていた。

 オレゴンに身を寄せて歩くハルシオンに、平然と進んで行くエル。夢見だけは異様に辺りを見渡しながら不安そうな顔をしていた。


「夢見さん、大丈夫ですか?」


 その様子にいち早く気付いたオレゴンがハルシオンの隣を行く夢見に声をかける。

 それに答えたのはハルシオンだった。


「おねぇちゃん。お化けが苦手なんだー」


 他人事のように言うハルシオンに夢見が飛びつきながら言った。


「微睡。おねぇちゃんはお化けが怖いんじゃなくて不明瞭な物が怖いのー」


 その時、草むらからガサッと音が鳴り、ハルシオンに抱き付く夢見を震えさせる。

 誰から見ても強がっているだけだった。

 そこで気分を紛らわすためか、ハルシオンが明るい声で言う。


「こんな時は楽しい話でもしよー」


「微睡、楽しい話ってなにー……?」


「僕の実体験心霊ホラー!」


 唐突にエルが手を上げて言った。

 すかさず夢見も手を上げて返す。


「空気読めてないよー!?」

 

「あれ? 彼氏にはこういう場所では怖い話が定石って言われたんだけどなぁ? むしろ空気読めてると思ったのに……」


 しゅんとするエル。ハルシオンは苦笑いをして話を変える。


「エルちゃんは怖くないのー? さっきから堂々としてるけどー」


「なんかね、ハーシャッドに実験されてから夜でも目が効く様になったんだ」


 エルがそう言って沈黙する一行。地雷を踏んでしまったかとハルシオンが焦っていると、エルはスキップをしながら続けた。


「暗闇でも良く見えるって便利だよ!」


 くるくると回って嬉しそうにするエルを見て、ハルシオンは安堵の溜息を吐く。

 そこから怯える夢見にフォローをしながらも一行は目的地へ向かった。

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