自己紹介
「そう言えばトリアゾラム家の人はなんで学園外で生活をしているのー?」
「知らないのー? トリアゾラム家は研究一家。学園内は実験の規定とか規約が厳しいから外で生活してるんだー。ちなみにトリアゾラム家は主に魔法陣の開発をしてて、呪いの肩代わりが出来たのもその一環だよー」
聞けば聞くほど姉妹だと感じさせる二人の声。リニアモータートレーンで話す二人を見てオレゴンはそう思う。
座席は向かい合う形でハルシオンとオレゴンが並んで座り、その前では姉とその横に、エルが座っていた。
「あ、そう言えば自己紹介がまだでしたよねー」
ハルシオンが手を叩いてそう言うと、手を上げて続けた。
「微睡 ハルシオンです。エルちゃん、改めてよろしくですよー」
そして視線をオレゴンへ送る。その視線を受けてオレゴンは少し照れた様子で咳払いし、エルと姉を見て言った。
「辻風 オレゴンです。エル、正式に加入おめでとう。お姉さんは依頼、よろしくお願いします」
そして二人の視線がエルが向けられる。分かっていながらも緊張を押さえられなかったエルは思わず立ち上がって言った。
「雨芽 エルです! え、えっとこの度はお世話になりました! これからもよろしくお願いします!」
深く頭を下げる。ハルシオンが「まぁまぁ、リラックスしてー」と声をかけ、エルが再び席について所で姉が話し出した。
「夢見 ハルシオン。そこに居る微睡の姉です。今回の依頼よろしくねー」
緊張するエルに手を振って笑顔でそう言った。そして夢見は何度も頷くエルに向けて続ける。
「エルさんは二人とはどんな関係なのー?」
エルが「えっと」と口を籠らせているとそこへオレゴンが答えた。
「我々の組織に新しく加入してくれた大切な仲間です。前から少し面識はあったので初めて出会った訳では無いですよ」
夢見は「ふーん」と自分の顎を撫でてから呟いた。
「大切な仲間かー。いいなー……」
良く聞こえなかったオレゴンが首を傾げていると、横でエルが頬を押さえて照れながら言った。
「大切ってぇっ、オレゴン君駄目なんだよぉ。僕には彼氏が居るんだよぉ」
エルの変貌に理解が追い付かないオレゴンの腕を引っ張るハルシオン。そして小声で言う。
「エルちゃんには彼氏が居るのです。ただそれだけですよー」
「そ、そうか」
そうして四人は目的地まで他愛ない会話をして過ごした。




