外伝「レムの行方とハーシャッドの目的」
「あなたたちの活躍には心底驚かされましたよ。ご苦労様です。無事にハーシャッドの戦争を終焉に導かれたのも偏にあなたたちの活躍あってだと思いますよ。はい、ではこれ報酬です」
「あ、ありがとうございます」
既に傷一つないナンバー5から、オレゴンはギブスを着けていない方の手で厚い封筒を受けとる。
「では下がって良いですよ」
「え?」
「え? ではありませんよ。私は忙しいのですよ。あなたなら分かるでしょう?」
ナンバー5は早々にオレゴンを部屋から追い出すと、遅れてナンバー2が部屋に入室した。
「話とはなんでしょうか? ナンバー2さん」
「聞きたい事はいくらでもある。まず私がトリアゾラム家に警を告出した事がハーシャッドの戦略と言ったな?」
「えぇ、そうですよ。あなたのその行いが結果として計り知れない強さを持つハルシオンを生み出した。ハーシャッドは予め洗脳の仕掛けを施していたハルシオンをそうやって操ろうした。全てはハーシャッドの目論見ですよ。あなたがトリアゾラム家に警告を出す事もね」
「……。あとレムとやらはどうなった?」
「そこが厄介なのですよ。あのレムは卒業者『ジョーカー』を探している。もしジョーカーの逆鱗にでも触れれば……」
「考えたくも無いな」
ナンバー2は部屋のソファに腰掛ける
「おやおやまだ何か聞きたい事でも?」
ナンバー5がめんどくさそうに言う。
ナンバー2は足を組んで返事をした。
「いや結局の所、ハーシャットとやらの目的はなんだったのだろうかと思ってな」
「簡単な事ですよ。彼は強い力が欲しかった。ただそれだけですよ」
ナンバー2はナンバー5の意見に同意しかねると言った感じに顎を撫ぜる。
それにナンバー5は苛立ちを見せて言った。
「何か納得のいかない事でも?」
「いや、私にはそんな単純なものには感じなかったのだ」




