外伝「マスケット銃の少女」
特に続かないシリーズです。
時系列はばらばらです。
あとあまり心地よい作品ではありません
お暇でしたらぜひ。
朝6時、少女は起床した。
重い瞼を擦りながら青いベットから立ち上がる。
少女は大きく伸びをするとそのまま部屋を出た。そしてリビングのソファで横になっている若い男性を起こさない様に静かにキッチンへ向かい徐に冷蔵庫を開ける。
「今日のメニューはどうしよっかなー」
少女はバタンと扉を閉める。
そこで男性は言った。
「うるさいぞ。静かに閉めろ」
「あ。ご、ごめんね」
必要以上に焦って謝る少女に男性は寝たまま背を向ける。
気を取り直して少女はガスコンロに火をつけてフライパンを温め始めた。
次に冷蔵庫から取り出した数個の卵を割り、お椀の中でかき混ぜる。
そのまましばらくして、油を引いたフライパンにソーセージを乗せるとパチパチと油の跳ねる音が鳴った。
そこで男性がむくりと起き上がる。
「何を作っているんだ」
「朝ご飯とお弁当だよ。今日は友達と川に遊びに行くって言ってたでしょ?」
「いーよ。飯なんて向こうで適当に食べるから」
「え……。作った方が良いかな。って昨日聞いたよね……?」
「うるせーな。気分変わったんだよ。朝飯も友達と食べるから」
少女は肩を落とすと、ぼそっと言った。
「早起きしたのに……」
男性はソファの前にある机を強く叩いた。
上に乗っていた酒の空の瓶が床に落ちる。
そして低い声で言った。
「なに? 文句ある?」
「え、んーん。な、何もないよ! それより何時に出発するのかなーって」
「何時でもいいだろ。適当に出るわ」
「そ、そっか……。じゃあボクもう一度寝てくるね!」
少女はガスコンロを止め、後片付けをする事も無く足早に部屋を去ろうとする。
すると男性は少女の手首を掴んで言った。
「まぁ、せっかく起きたんだし、飲み物買ってきてよ。昨日切れたから」
「う、うん。何が良い?」
「酒」
「また……。そんなに飲むと体悪くしちゃうよ」
「うるさい。早く買ってこい」
「うん……」
少女は返事をしながら戸棚へ向かうと、引き出しからお財布を取った。
「あ、そうだ」
男性がぶっきらぼうに言う。
「どうしたの?」
「今日、車で行くんだよね」
「え? 車? そんな高価な物どうやって手に入れたの?」
「貴族から盗んだ。けどまぁ、そんな事は良いじゃん。それよりさ――」
そこで少女が割り込んで言った。
「――良くないよ! 捕まったらどうするの!?」
「うるさいな。最後まで聞けよ。一人さ、行け無さそうで二人になっちゃうからお前来る?」
「駄目だって! 盗んだのは友達だよね? その車で行くのはやめた方が良いよ! もしかしたらマーキングされているかも知れないし!」
少女は男性に歩み寄りながら言う。
すると男性は立ち上がると、唐突に少女の頬を殴った。
机の上の酒のつまみや複数の空瓶を散乱させながら、机の上に倒れこむ少女。
「俺に指図すんな」
「ご、ごめんなさい……」
「良いから酒買ってこい」
「……うん」
少女は落ちた瓶を拾おうとする。
しかし男性は。
「さっさと買ってこい!」
と机を蹴飛ばした。
少女は慌てて部屋を後にする。




