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おかえり

 ハルシオンは重たい瞼をゆっくりと開けた。

 まだ景色がはっきりせずぼやついているが、見慣れた天井が見える。


「あれ、ここは~?」


 大きな欠伸をし、起き上がるハルシオンは、両手をあげて思い切り伸びをする。

 そして前方を改めて確認すると、そこにはオレゴンがコーヒーをすする日常が広がっていた。

 慌てて周囲を見渡すハルシオン。

 座りなれたソファに、オレゴンがコーヒーの入ったカップを置く事くらいにしか使われない無機質な机。そしていつもの調子のオレゴン。


「あれー? 夢落ち?」


「その方が幸せだったがな」


 オレゴンは広げた新聞に目を通しながら言った。


「じゃあなんでいつもの生活にー? 私、もう普通の生活に戻れないってー……。だって私……。それとも最後の別れとか……?」


 ハルシオンは話していくうちに眠る前の事を思い出していったのか、徐々に暗くなっていく。


「なんでそうなるんだ?」


「だってしちゃいけない事いっぱいしてしまいました……」


 膝を抱え込んで俯くハルシオン。

 対して、オレゴンは新聞を机に置くと、ハルシオンによりそりながら答えた。


「ばかだなー。そしてネガティブだ。お前がここに居る地点でもう少しポジティブになれよ。戻ってきたんだ。日常にな。もうなにも心配ないぞ。お前の罪は全て消えている。ってナンバー5が言ってたぞ」


 ハルシオンの隣に座るオレゴン。


「ほんとですか?」


 視線だけをオレゴンに向けるハルシオン。


「あぁ、ほんとさ。なんで嘘言う必要があるんだ? じゃあ、改めて……おかえりハルシオン」


 頭を撫でるオレゴン。

 ハルシオンは赤く染まった顔と涙を俯いたまま隠して答えた。


「た、ただいまーです」

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