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断章「黒いドレス」
――なんだが、眠っていたみたい――
雨のように降り注ぐ五寸釘。少女の目前だけで起きたその小さな現象。
少女はただ茫然と眺める。その大量の釘に突き刺されて絶命する人物を。
そしてその少女に切りかかる者が居た。
しかし少女はその人物より先に、手に握る釘でその人物の顔を突き刺す。
力を失って倒れ行く人物。少女は追い打ちを掛ける様に体重を乗せると、そのまま地面に釘を突き刺して死体を地に固定した。
黒いドレスを赤く汚して少女は駆け出すと、次々に迫る人物を虐殺していく。
少女は取り囲まれていた。
しかし臆する事の無い少女は、その場で片手を天に掲げる。
すると、それだけで周囲の全ての人間が体の一部を貫かれて地面に固定された。まるで少女に命乞いをするように、跪く形で。
水色の髪の少女は血腥い中で、狂気の混じった笑みを浮かべていた。