私の日常
「雅、朝の話。異世界に行く予定でもあるの?」
「っ!!!」
っごほっごほ!飲んでいた水が、気管に。ぐるしい。
皇帝や藤原一臣、耀子先輩など視線が痛い。
紗枝とセットで残念コンビだから…ね。
放課後の生徒会室in王国で、今日から舞台の練習をする為に、聖女と王国の生徒会が全員集合中。
そんな皆さまの注目を集めてしまった。
言い訳だかなんだかしようと、私が口を開いたとき。
「紅茶と珈琲、入れたよぉ~」
眠そうな声が扉から聞こえ、カップを載せたトレーを持って、同じ顔が二つ入って来る。城ヶ崎美幸先輩と美香先輩だ。同じに見えて、決定的に違うとこがある。美幸先輩はよしゆきと読み男性だ。美香先輩は女性で私たちは美香ちゃん先輩と呼んでいる。美幸先輩のことは、聖女ではよし先輩と呼んでいるが、王国ではみゆき先輩と呼ばれている。
王国の生徒会室は、紗枝が王宮と呼ぶのに相応しい造りになっている。別に謁見室や王座が有るわけではないよ。
基本、学校の教室なのだが、入り口は一つ。廊下の突き当たりに位置するので、入って左右に窓がある。ほぼ正方形をイメージして、右下に入り口、入ってすぐに応接間、本棚を衝立代わりにして、右奥に資料室。中央右寄りに衝立で、左側下に8人で使える大きなテーブルと肘掛けとキャスター付きの
椅子。左側奥は個人用の机があり、窓を背に会長の机が、会長の前に向かい合う形で3列6個の机が、並んでいる。会長の机だけ校長室の机みたいにがっしりと豪華。もちろん会長の椅子もふかふかして寝やすそう。
聖女の生徒会室は小さな続きの教室二つを使っていて、片方が資料室で、もう片方は大きなテーブルと椅子がある談話室みたいな感じ。だから合同行事の時は必ず王国で集まる。聖女では全員が集まれないからね。
「雅ちゃんは紅茶でいい?よし君の淹れた珈琲も美味しいよ。」
テーブルに紗枝と並んで座っている私と紗枝の前に美香ちゃん先輩が紅茶を置いてくれた。
「希美ちゃんは珈琲?よしく~んここも珈琲ちょうだ~い」
紗枝と反対側、私の右隣は斎明寺希美ちゃん。
私たちと同じ2年生で副会長、来年の女王陛下だね。でも女王陛下というより、平安時代の宮家のお姫さまって感じ、普段はね。
聖女の生徒会は立候補とかでなくて、先輩から、指名推薦で名指しで選ばれる。拒否権はない、なかったよ。いろいろ怖くて、断れないよ。
紗枝の隣、所謂お誕生日席では藤原一臣が、よしくん先輩から受け取ったコーヒーを飲んでいる。
紗枝の向かい側には王国2年の会計、山田太郎くんが。
希美ちゃんの隣のお誕生日席と向かい側は空席。
三年生の先輩方はソファの方。
いまは間の衝立を片付けているから一つの空間として使っている。
「紗枝ちゃん、菜々緒の焼いたフェナンシェあるよ、食べる?みんなも食べてね。」
私たちの背中側、ソファにいる耀子先輩から声がかかる。
「食べま~す♡」
菜々緒先輩は聖女の三年生で副会長。耀子先輩より女王陛下が似合う人、決めセリフがあるならば『私がヤレと言っているんだが?』である。瞳を見ながら言われたらヤルしかない。やっぱり普段は優しい人だけどね。私の中での『聖女で怒りを買ってはいけない人ランキング』の上位です。希美ちゃんも怖そうなのよ。
でも、お菓子はいつも美味しくいただいています。
「「「「「菜々緒先輩、ありがとうございます。」」」」
「はーい、召し上がれ。」
二年生はみんなでお礼を言う。食べ物の力は絶大だね。
「ただいま~、コピーしてきたよ。」
生徒会役員最後の一人、王国副会長の斎明寺尚哉さん。希美ちゃんのお兄さんで、王国の雑用係りを自認している。
このポジション、来年は五十嵐颯也のはずだが、きっと山田くんが黙々と苦労してそうで…今から不憫だわ。
山田太郎くんは、高校からの外部生で新入生代表から首席の座を人に譲った事がないらしい。でも、成績以外は普通の人、学校の先生をしているお父さんとママさんコーラスが趣味のお母さんって、サラリーマンとスーパーのパートの娘は親近感を覚えるわ。
さっきから、目の前でくすくすと感じ悪いぞ、五十嵐颯也!




