はじまらなかった
「ですから、トラックにひかれて予定外に死ぬ予定だったのですが、予定外に助かったってしまったのですよ。良かったですね。」
えっと…
「じゃあ、異世界転生は?」
「できませんね。この世界で生きていますから」
「えー!!!!」
予定外の予定って、さらにまた予定外って。
私の人生って予定もたたないような人生なの?
はぁ~。もうどうでもいいや。これは夢ね。私が退屈だからみたかなりアレな痛い夢だわ。あぁ、恥ずかしい。
「あっ、きたきた。おーい。ここ、ここ。」
「すまんな。遅くなった。」
今度はおじさん?って誰よ?もういいよ。やめようよ。恥ずかしいから、目覚まそうよ。
「とりあえず、其方に差し上げられなくなり、申し訳ない。」
「まぁ、予定外では仕方ないですから。しかし本当に予定外なことが起こるのですね。びっくりしましたよ。」
「実は彼女を助けたのが、異世界からの転生者でして、能力がこの世界でのチートで、私には予測できませんでした。本当に申し訳ない。」
「あぁ、転生者って予測できませんよね。そこが惹かれるんですけどねぇ。」
「まぁ、転生者には予定を崩した旨、厳重注意しましたので、次は大丈夫でしょう。」
「では、また次の機会に、ですね」
私が一人でワタワタしている間に子供とおじさんの間の話も終わったみたいで。
「みやびちゃん?ごめんね、せっかく私の世界に来てもらう予定だったのに…。まぁ能力はもうプレゼントしてしまったから返却できないし、有効に使って。たぶんここの世界でも少しは使えるはずだから。」
バイバーイとお子さまは消えた。
「さて、雅さん。」
おじさんは私に向き直り話し始めた。
「今回の件については、貴女に非はありません。」
当たり前だ。助けられたことが悪いとは、言われたくないね。でも、無意識に身構えてしまう我が身の悲しさ。
「とりあえず、貴女にはこのまま私の世界で人生を全うしてください。あと、%&○☆が、あぁ、貴女の中ではさっきのお子さまですかね。まぁ、かの方が貴女に与えた能力は、私にも干渉しかねますので、とりあえずこれもそのまま。できれば使わないことをお願いしますね。あとは貴女を助けたアイツですが、無理でしょうが、関わらないことをお勧めします。えぇ、もう全力で逃げてください。」
最後のなんか不穏な言葉はなにかな?
「それでは朝がきますし、お別れですね。二度と会わないと思いますが、会わないで済むといいですが、お元気で。」
おじさん、きっとこの世界の神さまだろう、は真っ白の世界に溶けるように消えた。
そして、私の世界は白から黒になり、眠くて眠くて、瞼が…
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「あら、目が覚めた?」
白衣の天使(かなり貫禄がある)が笑顔で迎えてくれた第二の人生。夢だったか?
「おはようございます。」
返事をするとたぶんベテラン看護士さんは、点滴を片付けていた手を止めて、私の顔を覗き込む。 枕元のナースコールを押して、
「椎名さんが目を覚ましました。」
と報告した。
私は、自分の記憶を思い返してみる。
紗枝が、藤原一臣を道路の向こう側に見つけて駆け出した。
私も後を追って、トラック?
その前に、紗枝が止まったのだ。
藤原一臣の陰から、聖女の制服をきた綺麗系の美女が顔を出したから。
で、トラックだ。
おのれ藤原一臣め。アイツは敵だ。昔から紗枝は藤原一臣が一番優先だった。最初はもちろん腹が立った。小学低学年だったしね。小学校も高学年にもなると、初恋かと暖かい気持ちで紗枝を応援した。紗枝が聖女の中等部を受験したのも藤原一臣との接点だろうし。紗枝はかわいいなぁ。
なのに、アイツは他に彼女を作っていたのか。あぁ怒りがふつふつと湧き上がって来る。
ん?私を助けたのは、誰?
確か…
藤原一臣は紗枝の手をひっぱて。
私は誰に抱きしめられ…。
誰?
いやいや、残りの登場人物からしたら件の美女ってことだね。うん。
思い出したわ。長いサラサラの黒髪と筋肉質な逞しい胸?
美女?だったよね?
おーい、私の記憶力?これでも成績優秀なのだよ。本当だよ。紗枝には中身はものすごく残念な子と言われるが。お互いさまだ。
結局、お医者さまが来て、色々あって、私の記憶力は残念なまま時間は過ぎていく。
紗枝がお見舞いに来るまで。




