花の石
王国の生徒は大半がこの商店街が通学路なのでお店のおばさんと顔見知りが多かった。特によしくん先輩。お肉屋さんのおばさんはみんなにコロッケをくれた。お芋がホコホコでおいしかった。
八百屋さんで生の果物を使ったジュースを買って、一度駅の方に歩いてからお寺の方向に戻る。駅まではお肉屋さん八百屋さんなどいつものお店が夏祭りに店頭でも販売していた。酒屋さんの前はビアホール状態に長椅子やテーブルが並んでいて、隣のカフェが料理を出していた。
王国からお寺の方に行く道は出店が道の両側に並んでいる。
「臣くん、あの黄色のが欲しい。」
「雅先輩はどれがいいですか?オレ取りますよ。」
ヨーヨー釣りをして、金魚すくいして。
王国騎士が8人並んで射的をして。
紗枝が綿飴で口の周りをベタベタにして、
りんご飴食べて。
浴衣を着てくれば良かったね~って笑って。
笑って、笑って。
はしゃぎ疲れてお寺境内で休憩。この場所は高台の広場になっていて、商店街が見下ろせる。
落ちていた空き缶で缶けり遊びを始めた紗枝たちを背中に、柵に寄りかかり、遠くに聞こえる賑わいの商店街を見ていると、
「どうしたの?狭川に懐かれて疲れた?」
「颯也こそ、射的なんて簡単じゃないの?全然当たってなかったけど?」
「夜店でマジになって力使わないよ。」
やだなぁ~。なんて笑っている顔になんか腹がたつ。
「でも香代ちゃんは颯也先輩に取ってもらいたかったみたいだよ。」
「雅もなんか欲しかった?」
「別に、いらないよ。」
「ふーん。」
じゃあやきもち?なんて、何でもない顔で言わないで。
期待する。ってなにを?
「雅って素直じゃないね。」
別に欲しいものなんてなかったよ。
「雅!こっち~!アクセサリー屋さんがいるよ~。」
広場の端に敷物のに色々並べている派手なお兄さんがいた。
敷物の上にはペンダントや指輪などガラス玉や天然石で作られた可愛いアクセサリーが並んでいた。
「宝石店へようこそ、お姫さま。」
派手なお兄さんは、帽子を取っておどけて挨拶をした。肩の下で一つに纏めた長いオレンジ色の髪にアンバランスな綺麗なお辞儀だった。
「安いけどキレイで守護石にぴったりな石だよ。お兄さん達、彼女にどう?」
折りたたみの椅子に座ってアクセサリーを勧めてくる。
「臣くん、欲しい♡」
紗枝は目をキラキラさせて選んでいる。
「お兄さんたちは受験生かぁ。なら、こっちの石とかどう?お守り代わりにおひとつぜひ。」
「何かの縁だし、買おうかな。」
「菜々緒ちゃんのも買ってお揃いにする~。」
「だね。色違いで三つづつ。」
「しっかり願掛けしてあるから。色々護ってくれますよ。そっちのお嬢さんは、この石がお薦めだね。光に当てると猫の目みたいで可愛いでしょ。」
「可愛い♡これにする。」
紗枝を嬉しそうに指輪を嵌めた手を顔の前で広げている。
「お兄さん、お揃いの石でストラップ、オマケね。」
お釣りと一緒に一臣に押し付けるようにストラップを渡す。
「一年生には俺が買ってやろう。生徒会に入った記念品だな。」
「この流れだと、雅さんのを颯也が買うから、希美ちゃんには僕がプレゼントしましょう。」
「なんか嫌々ですか。」
「プレゼントさせてくれませんか、希美姫?」
「そこまで言うならもらってあげます。」
尚哉先輩、普段甘やかしすぎだと文句をいいながら財布を出す山田くん。
「雅はどれ?」
「いや、自分で買うよ。」
「お前、空気読め。山田が希美ちゃんに買って、何でお前が自分で買うんだよ。」
桜色のお花の形に石が並んだストラップを買ってもらった。




