はじまる前に
真っ白。
一面真っ白の世界。
これはもしかして。
最後の記憶は目の前のトラック。
今は真っ白の世界。
もうこれは、神さまからチートの能力をもらっての異世界転生ね。
死んでしまったことは、悲しいけど、もう仕方ない。人間諦めも必要だわ。
でも、異世界。あぁ楽しみ♪
なんて思っていました。
でも、神さまはどこ?
なんで誰もいないの?
これでは私、もしかしてただの恥ずかしい人じゃない。
通学の電車で読んでいたWeb小説の定番を期待してみたのに…。
ただの夢?
もしかして私の体は死んでない?目が覚めたら手術中でした、とか?
なら、早く目覚めて私。
誰にも見られてなくても、恥ずかしくて死ねそう。
「やあ」
不意に声をかけられた
あら、かわいい少年?少女?
ピカピカのランドセルが似合いそうなかわいい子供が立って?浮いて?いた。
だって、身長は小さいのに、目線は同じなのよ。浮いているよね、これは。
「待たせてごめんね。色々手違いがあって…。仕方ないから私がここまで来るしかなかったのよ。」
顔に似合わず大人びた、疲れた大人の表情で話始めた。
「まず手順通り始めるね。」
そう言って、満面の笑顔で
「おめでとうございます。予定外で亡くなってしまった貴女にもう一度生きていくチャンスを差し上げます。もちろん予定外のお詫びにチートな能力もプレゼントしますね。ただ、残念ながらこの世界での貴女の人生は終わってしまったので、新しい世界でのスタートになりますが、よろしいですか?あっ、ダメなら輪廻転生の輪に戻ってもらって、大丈夫です。その場合は、今世の記憶もなくなりますので問題ありませんから。で、ここまでの話は理解していただけました?」
めっちゃ早口。めっちゃ笑顔。どこのセールスの人だよ。
「あの…理解、できませんか?」
おかしいなぁ。理解し易いようにこの世界でのポップカルチャーに働きかけているはずなのに…とぶつぶつ言っている。
これはやはり、最初に考えた通り異世界転生?チート有り?
やったー♪で、合っている?
「たぶん、理解しました。」
にたにましながら応える。頬が自然と緩むわ。さよなら、退屈よ。ふふっ、ふふふふふ。
あぁ、止まらない。
「あのー、大丈夫ですか?続き始めていいですか?」
暫定神さまの視線が残念な子を見る目だわ。でも負けない。異世界に行ってしまえば、知らない人ばかりよ。
とりあえず、頷いて返事をする。
「では、」
と、一呼吸して。
「で、ですね。もう一つ予定外の事がありまして。実は貴女、生きているんですよ。死んでないんです。」
「…はい?」
まさかの次点の考えまで正解とか。どういうこと?




