番外編 蘭皇国の皇子さま
今日は投稿が遅くなりました。
しかもこれは本編とはほぼ関係ありません。
番外編です、ごめんない。
とある世界の蘭皇国。
この国は前皇帝が一代が周りの国を攻め滅ぼして、大帝国にしました。彼は病で死の淵にいても、死神がその鎌を振り下ろす直前まで、国を大きくすることだけを考えていました。
そんな皇帝がまだまだ現役の頃、王宮は巨大な張りぼてで、中には魑魅魍魎が跋扈して、ドロドロとした後継者争いが行われていました。
「順当に皇太子としては龍紅さまで」
「一番武勲のある藍虎さまが」
龍紅さまは第一皇子、藍虎さまは第二皇子です。
因みに第三皇子は白麟さまです。
白麟さまは、この周辺の国にはない容姿の為、嫌煙されておいでです。魔術の才能目覚ましく、成人されるのが楽しみです。
申し遅れました。私、珠角と申します。第二皇子の従者をしています。
「皇子、暇です。」
そっと龍紅皇子の耳に呟きます。
「だから藍虎は逃げたのだよ。今頃、白麟の所だろう。」
はい、そうです。御前会議を我が君はすっぽかしました。私を身代わりにして。
御前会議は卓で閣僚たちが進め、皇帝と皇子は御簾越しに聞いているだけ。皇帝陛下は今日も戦に出られていて空席です。
卓を囲む人達は後継者を誰にするかで、自分たちの権力抗争をしているのです。
皇子たちはこんなに仲がよいのに。
★★★
「らっふあにうえ、うまにのれます。とおのりにつれていってください。」
まだチビは俺の名前も言えない。でも、会いに行くとトテトテと後をついて来る。面白い。
「あー、明日からまた戦場に行くから無理だ。」
王宮の端、一番隅で白麟と白蓮さまは過ごしている。人目を避けるように。ごくまれに西方の商人が一人やって来るぐらいだ。
だから此処はいつも穏やかで嫌なことは忘れておける。
チビの両頬を引っ張って伸ばしてみる。
「はにゃうへ、ひらひれす。」
「お前がもっと大きくなって、魔術ももっと使えるようになったら一緒に連れて行ってやるよ。」
そんな約束をして、慌てて白蓮さまを見る。
幼いチビを戦場に連れて行く約束はまずかったか。
「良かったですね。藍虎皇子のお役にたてるように頑張りなさいね。」
白蓮さまはいつもの穏やかな笑みで、チビを見ていて、ほっとした。
「俺は明日からいないから、今から剣をみてやる。練習さぼってないか。」
「はい。あにうえにおしえてもらったことやっています。まじゅつもろっほうあにうえにおしえてもらいます。」
白麟の体には大きい剣を持って素振りをする姿は愛らしい。
こいつが成人する頃には戦も一段落しているといいな。
★★★
「藍虎皇子、そろそろ起きてください。」
執務室にある長椅子で仮眠をしている皇子を無理やり起こす。
「あー、眠い、ひどく懐かしい夢を見た。白麟がまだチビだった頃の。」
首を左右に動かし、肩を回して伸びをする。本来、この方は大人しく机に向かう人ではない。戦場でこそ生き生きとしておいでだった。
「珠角、そんな顔をするな。俺は大丈夫だから。兄上やチビに誇れる国を造るさ。」
そうおっしゃいますが、机の上の書類はなかなか片付かないのです。さぼり癖が治りませんから。
皇帝陛下が病でお隠れになった後、王宮内は争乱の渦に飲まれた。龍紅皇子、白麟皇子が巻き込まれ、皇帝陛下に続きお隠れになり、唯一、藍虎皇子だけが…。
「今頃、兄上がチビと一緒にいるさ。俺は、まぁ珠角がいるから大丈夫だしな。」
笑顔でそんなことを言われると、照れてしまいます。が、逃がしませんよ。
執務机に座った藍虎皇子に書類を差し出していきます。今日はさぼらずに、書類を片付けるようで安心しました。
つい書きたくなり書いてしまいました。
今日の投稿予定の本編もありますので、もう少し待ってください。待ってくれる人がいるといいな。