私の世界で、魔法の使い方
異世界クォリティーは、すごい。暗記がすらすら出来る。英語も数字も、理解出来るのだ。さすが、異世界で訳の分からない魔法が理解できるはずだ。
それだけ出ない、疲れにくいのだ。マラソンも走れそう。荷物も30㎏ぐらいなら持って移動できる。走る速さも速いの。そんな目にも留まらぬ速さとかはないけど、リレーで勝てる自信がある。
きっと異世界でレベル上げとかしたら、壁を蹴って飛べたり、崖から落ちても平気だったりするさのだ。たぶん。
あの後、五十嵐颯也は魔法を使うコツを教えてくれた。
僕のやり方だけど、と前置きして、
「まず、魔法に対して既存のイメージを持たないこと。自由な発想で魔法を作ればいい。この世界には魔法の決まった概念が構築されていないんだ。だから、勝手に作れる。魔法をイメージするのではなくて、魔法を使った結果をイメージして、意識を魔法にのせて、自分の魔力をイメージに沿わせて、流す。」
理解不能。
「呪文や詠唱も、その世界ごとに制約が違う。この世界には色んな呪文や詠唱があるみたいだけど、魔力と結びついて魔法や魔術の形を成していないから。それだけでは使えない。君が自分で作った魔法に合う言葉を付ければいい。」
自分で作れって、中二病ですよ。魔法を自作して、使うって、恥ずかしくて死ねるレベルですよ。
「例えば、さっき僕が部屋を片付けたのは『片付け、掃除』と言う言葉だ。君の服は『綺麗に』。自分の言葉だとイメージも掴みやすい。それにこの国には言霊と言う太古の呪いがまだ残っているから。」
「きっと異世界に行くより、楽しい魔法が使えるよ。自分なりのコツが掴んでみてよ。」
で、今夜、早速制服で試してみる。
「『綺麗に』」
何かが違うのか、変化なし。
もしかして、
「『クリーニング』」
わかる、水、風、火に魔法が凄く複雑に編みこまれていく。綺麗に編まれた魔力?が制服を包み込んで洗濯して、乾燥して、アイロン掛けしたイメージ。
ここは異世界じゃない。何かそんな感想が出てくる魔法だった。でも、五十嵐颯也の言いたいことはなんとなく理解したかな。
ただ、すごく疲れた。暫く休憩しないと動く気にもなれない。
動けないから、考えてみる。
例えば、ファイヤーウォール。炎の壁。
ゲームやラノベなんかでよく見かけるしこんな感じとイメージがあるし、これぞ魔法って感じもある。私の魔法に対するイメージはコレ。でもこの世界にファイヤーウォール、炎の壁は作られたことはない。ガソリン撒いてとかは別ね、魔法ではないし。だから、言葉、呪文はあってもそれに対になる魔法が編まれていないのだ。だから、ファイヤーウォールのイメージだけでは安定しない。ファイヤーウォールで敵の攻撃を防ぐとか、ファイヤーウォールで敵を囲んで焼き殺すとかまでイメージする。
五十嵐颯也にぶつけた『水球』のように。五十嵐颯也にぶつかって、水浸しになれ、と。
私が五十嵐颯也に『水球』をぶつけようとして使ったから、火球やミニ竜巻より創りやすいから、あっていると思う。
と、火曜日の放課後、王国の講堂の舞台の順番待ちの時に五十嵐颯也と話をしてみた。
「基本的にはそんな感じ要するに、ファイヤーウォールの壁を作るのに、炎の壁、ではなくどんな炎でどんな効果でと細かくイメージできればいい。難しいから使った結果をイメージすればってことかな。」