私の日常 2
私たちは尚哉さんがコピーしてくれた台本を見ながら、話し合いを始めた。
「とりあえず、現状の把握と共有からな。」
皇帝陛下が仕切る。
「春の学祭っていうか、部活紹介と勧誘の場だな。今週末、金曜日の午後からだから後3日だな。」
どんなスケジュールですか、コレは。誰が考えた。むしろ、考えてないよね?
「とりあえず、衣装は二年前の秋の学祭のが、ちょうどロミジュリだったから、着れたヤツがその役な。背景や大道具系はお前らの演技力で魅せろ。小道具は有るものを使う。今日、覚えて練習3日。完璧だろ。」
あなたですか、皇帝陛下。
「皇輝、雑!三年生は一年の時の衣装だから、大丈夫で、紗枝ちゃんと希美ちゃんは着れそうなのがあった、って聞いたけどあってる?」
さすが、尚哉さん。フォローして、進めてくれる。
「雅ちゃんはドレスより御影先輩の男装が似合うって聞いたけど…。」
言いづらそうに聞いてくれる。御影先輩は聖女の皇帝陛下と呼ばれた前会長だ。男装がよく似合っていた。
「一人だけ男装って、御影先輩じゃないんだから、虐めだよ。ドレスが嫌なら制服でいいんじゃない。」
五十嵐颯也、どんな魂胆だ。土曜日の夜からはじめてあって、私、避けていたのに。どうしたらいいのか、わからない。あれは悪魔だ。魔王だ。
「他人に興味ない颯が珍しいな。」
「助けた子犬は飼わないといけないだろ?」
「ぷっ、あは、あはははは。…だな、大事にしろよ。」
子犬って、私?
「椎名は先週、貧血で倒れて五十嵐に助けられたんだったか?」
「おかけで、買い出し行ったのに会長の奢りのアイス食べ損ねました。」
「そういえばお前、あの格好のまま?」
「家の車呼んだからそのままです。衣装は今日、持ってきました。」
あぁ。金曜日のことか。貧血で倒れたことになっているのか。まぁ、トラックにかすりもしてないからね。トラックの運転手さんも日曜日に病院まで上司の人とお見舞いに来てくれた。子どもが産まれたばかりらしく、事故でなくて良かったと上司の人に言われていた。
異世界に行っていたら、迷惑かけていたよね。私が生きてて良かったよ。
などと自分の世界を構築していたら、話は終わっていた。
「よし、では解散な。金曜日抜けた颯也が戸締まりな。お先に。」
皇帝陛下は退出された。
今日、仕事したの尚哉先輩だけですよね。いいんですか、コレで。
先輩や希美ちゃん、山田くんも帰って、4人だけが残った。
「臣くん、帰ろ♡」
私も鞄に荷物を纏める。
「僕、金曜日の議事録纏めるから、一臣先に帰っていいよ。椎名さん、手伝ってね。」
「ふーん。まっ、いいか。紗枝、帰ろ」
「ふふふ。雅ちゃん、バイバイ♡」
見捨てられた?