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第5話 聖剣はあげるけど使えるとはいってましぇーん

1話丸ごと会話文のみにしてやろうと思ったんですが、無理でした

「確かにエクスカリバーって頼んださ……。だけど細かい設定までそのまんまにしなくてもいいだろ!」

「ひうっ!? し、知らないわよそんなの! あなたが選んだんでしょ!? それを私のせいにして! 神様なのよ、私! そんな大きい声で怒鳴られても、こ、怖くなんかないんだからね!」

「神様のくせに与えるのは1つだけってみみっちすぎるわっ! 他のラノベの神様見てみろ! あいつら最低限とか言いつつめっちゃ恩恵与えてるぞ! それをなんだお前は! 『1つだけ』とか! 『聖剣はあげるけど使えるとはいってましぇーん』とか! 使えねー剣はただのガラクタなんだよ!」

「そんなバカみたいな顔してないもん! それにお前ってなに!? 神様に向かって罰当たりよ! 新米だからって神様をバカにしたら罰があたるのよ!?」

「そういうならちょっとはマシなもんくれよ! 誰でも使える聖剣エクスカリバーくらいはやれってんだよ!」

「も、もーっ! さっきからそんなに怒鳴らないでよ! 怖くなんかないって言ってるでしょ! そんなに聖剣が使いたいなら、次はどんな伝説の剣でも扱える才能とかにすればいいじゃない!」

「なるほど! じゃねーよ! なら肝心の伝説の剣はどこにあるんだよ!」

「ああぅ……。やーめーてー! 頭グリグリしないでー!」

「はぁ……はぁ……」

「はぁ……はぁ……」

「分かった。お前のポンコツっぷりはよぉーく分かった。ならあれだ、俺にでも扱える伝説の武器はなんかないのか? 次はそれにしよう」

「むぅぅぅ! ……じゃあダーインスレイヴとかにしたら!?」

「魔剣じゃねーか! それ『扱う』んじゃなくて『扱われる』だから! この俺に呪いを跳ね返すだけの力があると思うか!? 却下だ!」

「情けないことを偉そうに言わないでよ! そもそも何で私がわざわざ調べないと……あっ、ごめんなさいグリグリはやめて!」

「はぁ……はぁ……」

「はぁ……はぁ……」

「はよ」

「むぅぅぅ! これ、ホントに特別なんだからね!

……んー、あなたにも使えるものは……あった! 腕利きの鍛冶師が作ったなんの謂われもない伝説っぽい凄く良い剣、その名も『チュルンフィング』!」

「なんだそのヘボそうな名前は! 結局ただの凄く良い剣じゃねーか! 伝説って付けばいいわけじゃねーんだぞ!」

「ひうっ!? じょ、条件に当てはまるものがこれしかないんだからしょうがないでしょ! 凄く良い剣なんだしわざわざ調べさせたんだからこれに決まり! 決まりなの!」

「おい、ちょ、ま――ああああああえあえあぁぁぁ」


◆◆◆


「――剣?ああ、確かに凄く良い剣だったな。あんま詳しくない俺でもなんとなく分かったさ。でもな、どんなに凄く良い剣でもずぶの素人が使ったらどうなる? 試し切りに木を切ってみようとか無茶なことを思い立って根元からポッキリ逝ってしまうのがオチだ……。

つまり……つまり……つまりそういうことなんだよおおおおいおいおい!」


 ついさっきのことを思い出して涙が出てしまう。あまりにもアホすぎる。悔しすぎる。


「ぷぷー! 自分で剣を壊しちゃうとか……ぷっ……ぷーくすくす! あっ、グリグリはやーめーてー!」


 八つ当たりで女神にグリグリ攻撃をかました後、ぺいっと投げ捨てる。くそ、さっきから森を抜けるどころか一歩も歩けていない。


「魔法もダメ。武器もダメ。というか何を選んだってどっかに致命的な穴がありそうな気さえしてきた……」

「いたたたた……。じゃ、じゃあ素手で戦うとかは? 武器も必要ないし……」

「それだっ! なんだ、やればできるじゃないか」

「え? えへへ……」


 嬉しそうにはにかむ姿は思わず守ってあげたくなるほどじゃない今はそんな場合じゃなくて格闘技のことだ。実際これはかなり良い選択ではないか? そもそも格闘技っていうのは武器を持った相手との戦いも想定して作られるという。1つだけしか持ち込めない条件下では最高の選択のような気がしてきた。


「よし、じゃあCQCの才能を所望する!」


◆◆◆


「――CQC? ああ、確かに強かったよ。これまで3回連続で殺されてきたゴブリンっぽいやつも一捻りだったさ。だけどな……格闘技ってわんころとの戦いを想定してるのか? 鳥とはどう戦う?

人型以外のモンスターが相手になった途端、頭が真っ白になったよ……。それでも必死で応戦したさ。なんとか戦えたのも格闘技の才能のお陰かもな。でもな、いくら才能があっても身体能力は何も変わってないんだよ。攻撃してもあいつらものともしないんだぜ? 組技? 犬相手にどうやれと?

……なぁ、想像できるか? 犬畜生に体を食いちぎられて段々意識が遠退いていくんだ。最初は痛くて暴れるんだがそれも数匹がかりで押さえ込まれてやがて痛みも麻痺してきてな……」

「ま、まあまあ。こうして五体満足で戻ってこられたんだからいいじゃない。そうだ、お腹すいてない? お腹一杯食べたらきっと元気になるよ?」

「そしてなにより悔しいのは、こんなバカっぽいやつのアドバイスが一番成果出てたってことだ」

「あなた褒めるフリしてバカにしてるでしょ!」

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