プロローグ
俺の名前は神谷 真玄。どこにでもいる普通の大学生だ。小学校もそれなりにやって中学校もそれなりに、高校もそれなりにやってきた。少しばかり変なことをやってる、普通の人だ。変なことって言っても、武術の稽古をしたり、体術の稽古をしてるだけだ。今日は学校が終わって家に向かってる途中で大変なことがあったんだ。
信号を待っている時に小さな女の子が持っている風船が風に飛ばされて道路に飛び出してしまってね、それを女の子が取ろうとして道路に走って行っちゃったんだ。その時、その女の子の方にダンプカーが猛スピードで突っ走ってきた!その女の子の母親らしき人がその女の子の名前を呼んでいるが、風船に夢中でその女の子は気づいていない…
「ヤバいっ」そう思った時には既に俺の体は動いていた。結果的に言えば間に合った。女の子は俺が押して少し怪我はするだろうが無事に向こう側にいる。そして俺は…そう思った時には凄まじい衝撃と痛みが俺を襲った。
一瞬の浮遊感の後、俺は地面に叩きつけられていた。視界は赤く染まっていて、それも段々と黒くなっていた。その視界の隅で女の子が無事であった事に安堵を覚えながら、俺は意識を失った。