表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
優等生令嬢の憂鬱~絶望の未来から~【書籍化】  作者: こる.


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

55/76

55.野営

 一度寮に戻って色々と、毛布や食料等を用意するのかと思えば。


「それではいざというときの為になりませんわ。いまから、はじめるのです。裏山の使用許可は頂いていますから、ご心配はいりませんよ」

 そうにっこりと言う彼女に、リコルさんが顔を引き攣らせる。

「裏山って……裏山、よね? 野営ってことは、野宿よね? 貴族のお嬢様、よね?」

「貴族だからといって、野宿をしなければならない状況にならない、なんてことはありませんよ」

 にっこりと言うカティールさんに、リコルさんが首を横に振る。

「無い! 貴族の令嬢が野宿する事なんて、無いからっ! そもそも、護身術を通り越して、実践で通用する程の技術を持った令嬢もいないってば!」

 その言葉を受けて、カティールさんは自分と私を何度か指を行き来させ、首を傾げる。

 あら、私が学んでいたのは、実践でも通用する技術だったのね。

「二人が特殊なんだってばっ。――うぅっ、もうっ。御館様には、事後報告させていただきますからね」

「ありがとう、リコルさん」

 肩を落として、見過ごすと言った彼女に、カティールさんが楽しそうに礼を言う。




 夕飯も自炊だとは、思ってもみませんでした。


 いつも訓練で走り回っている裏山の裾よりも奥へ進む。騎士科の実習でも使われる場所なので、踏みしめられた獣道ができている為、思ったよりも楽に進む事ができた。


 たどり着いたのは少し開けた河川敷で。聞けば、騎士科の人たちもここで野営の訓練をするらしい。

 とはいえ、野営の痕跡は綺麗に片付けられているので、焚き火をするカマドも一から作らなくてはならない。


「川に近すぎてもよくないわよね、ここら辺にしようよ。よっこらしょっと」

 リコルさんが手際よく、大きめの石を並べてかまどを作ってゆくのを手伝い、ここに来るまでに拾い集めていた枯れ木をその横に置く。


「さてと、ここはやっぱり魚でも釣るのが定石よね?」

 リコルさんが立ち上がりながらそう言うと、カティールさんがにっこりと却下する。


「いいえ、今回は小動物を狩りましょうね」




 何か思惑があってのことに違いないので、私もリコルさんも少し戸惑いながらも頷いた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ