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優等生令嬢の憂鬱~絶望の未来から~【書籍化】  作者: こる


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39/76

39.覚醒魔法

 無詠唱の魔法が発動――やっぱり彼女は、もう覚醒していたんだわ。

 だけど『治癒』の魔法で何を? シロウネ草を復活させる? わざわざ私達の居る前で?


 魔力の放出が終わり、私の鼻腔がシロウネ草の香りを拾う。

 目を開いて後ろを振り向けば、案の定畑は元通り。灰燼かいじんと化していた痕跡こんせきは無く、シロウネ草が何事もなかったようにそこにる。


 不意に、しがみついていたフレイムの体重が急に重くなり、支えきれずに押し倒される。

「ふ、フレイム!?」

 うつぶせに倒れる彼の下敷きになり身動きの取れない私に、近づいてきた彼女が首を傾げる。

「フレイム? 初めて聞く名ね? ああ、大丈夫。その人、あたしの魔法の影響でちょっとの間意識が無いだけだから」

 地面に膝を付いた彼女は、なんとか上半身を起こそうとしている私の顎を掴んで顔を覗き込む。

 いつもの陽気さが微塵も無いその真剣な目に気圧けおされる。

「やっぱり、アンタには掛かりが悪くなってるのね。前の時、散々魔法掛けちゃったから、耐性ができたのかも知れないわね……。まぁいいわ、これが最後だもの」

 低い声で呟いていた彼女は私の顎を掴んでいた手を放し、その手でぽんぽんと私の頭を叩いた。


「あたしはあたしの幸せのために、もう手加減はしないから。もうアンタに絆されたりなんかしない、あたしはあたしの力で幸せを掴むのよ」


 低く掠れた声で紡がれた言葉の後。私はフレイムの重みで身動きが取れず、ろくな抵抗もできないまま、彼女に口と鼻をハンカチで覆われ……気を失った。



 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆



「コーラル……コーラル? 大丈夫か?」


 肩を揺すられ目を覚ましたのは、教会の中の祭壇の前のベンチの上だった。

 フレイムが少し心配そうに私を覗き込んでいる。

「フレ、イム?」

「おや、目が覚めましたか? お嬢様」

 後ろから聞こえた神父様の声に思わずおののき、後ろを振り向けば。いつも通り優しげな微笑みを浮かべた神父様が居た。

「あ、はい、私、眠っていたの?」

「ああ、疲れが出たんだろう。立てるか? なんなら抱き上げていくが」

 おどけた様子でそう言うフレイムを、驚いて見上げる。

 なぜ? なぜそんなに明るく居られるの? だって、神父様は貴方の国の人で、ランがシロウネ草の畑を元に戻してしまって……。


 『戻す』?

 カチンとなにかが胸に引っかかる。


「これから、午後の礼拝があるそうだから、お暇しよう。コーラル? 本当に大丈夫か?」

 再度訊ねられ、ぎこちなく微笑みを作って頷く。

「ええ、少し頭がぼんやりするけれど、大丈夫よ。」

「では、失礼させてもらう」

 二人で神父様に礼をして、神父様もにこやかに見送ってくださった。



お読みいただき、誠にありがとうございます


さて、ここでお知らせがあります

12月19日 一迅社文庫アイリス様より

『砦の魔女2 ある日、恋の嵐が吹き荒れまして』が発売になります

今回もまち様に素敵なイラストをつけていただきました

お手にとっていただければ大変嬉しいです

どうぞよろしくお願い致します


2015.11.20 こる

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