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30.燃尽

 私は無我夢中で炎を操り、咲き乱れるシロウネ草を燃やし尽くした。


 強すぎる炎で嘗めるように部屋を焼き尽くしたせいで、昨日とは比較にならないほど室内は高温になり、総てを焼き尽くした時はもう蒸気風呂サウナに入っているように汗だくで、その上、手元を狂わせた時に少しだけスカートの裾を焦がしてしまった。




「はっ、はっ、はっ、はっ……」


 肩で息をし、息苦しい地下室から転がり出る。昨日よりも魔力を消耗した体が重い。

 地上への階段を上り、誰にも見とがめられず教会を出てふらふらと街を歩く。


 目に付いた喫茶店に入り、店の奥の席にぐったりと座り込んだ。


 注文を取りに来た給仕の女性に珈琲をお願いし、だらしないとは思いつつテーブルに両肘を付いて重ねた手の上に額を乗せて、目を瞑る。

 首筋を汗が流れ落ち、炎の熱で火照ほてった顔が熱い。

 被っていた帽子は、あの地下室で消し炭になってしまった。



 閉じた目の隙間から涙が零れ落ち、パタパタとスカートに染みができた。


 頭の中が混乱して、上手く考える事ができない。

 何故、シロウネ草が生き返っていたの? 根まで焼き尽くし、土をならしたのに。


 今度こそ……大丈夫。大丈夫よね、昨日よりもずっと高温で燃やし尽くしてきたもの。もう生き返ったりはしないはず。……生き、返る? 回復?

 背筋を冷たい汗が滑り落ちる。


 ま、さか、ランが?


 いいえ、だってあの子が覚醒するのは、私が実技の授業中あの子に炎の魔法を向けたのが切欠だもの、ありえないわ。



 ヒュゥッ と喉が鳴る。――ありえない、のかしら? 私だって、覚醒しているのに?


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