29.確認
翌日は昨日使いすぎた魔力を回復するためにゆっくりと眠った。あらかじめ執事のハルバードに伝えてあったので誰も部屋に来ず、自然と目が覚めるまで眠り続け、起きたら昼近くなっていた。
すっきりと目が覚めたのに胸の内はひどく重い。
お父様の事、そしてシロウネ草の事が気に掛かる。
……シロウネ草は昨日焼き尽くしてしまったので、もう大丈夫だけれど。
――大丈夫、よね?
嫌な予感に胸がざわめき、急いで身なりを整える。
大丈夫、きっと大丈夫よ! だって、私の炎で焼いたのよ? 覚醒した炎で満遍なく灰にし、そして埋めたもの。
でも、そう、そうよ、折角こうして実家に戻ってるんだもの、今日もお母様の教会に顔を出すのも良い事よね。
そのついでに、昨日の跡を見に行きましょう。ついで、そう、単についでなのよ。
「少し街に出てくるわね。お昼は適当に食べてくるから、用意しなくて良いわ」
「では、ただいま馬車を用意致しましょう」
そう言ってくれるハルバードを断って、歩いて行くことにする。
リコルさんとカティールさんから休み中の運動も指示されているけれど……昨日サボってしまったわね。怒られちゃうかしら?
思い浮かべた級友の顔に、胸の中が少し軽くなった。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
お天気が良いのでつばの広い帽子を目深に被り、途中昨日とは別の花屋でお供えする花を買って教会へ向かう。
今日もお庭の手入れをされていた神父様に挨拶をする。
「神父様、こんにちは」
「おや、お嬢様、今日も素敵なお花ですね。どうぞ、ごゆっくり」
胸がどきどきする。神父様は昨日私がここに来たことを覚えてらっしゃるのね。
笑顔で神父様に会釈して人気の無い教会の中に入り、昨日と同じように花を生け、祭壇の前に跪いて祈りを捧げてから、壁にかかる布を避けて地下へと進んだ。
嫌な予感はしていたの。
ドアを開けた途端に、噎せ返るような花の香り、そして咲き乱れる真っ白なシロウネ草が在った。
主人公が少し復活を見せる日曜日まで連続更新します。
9月6日の更新までいけば、多分、ほっとできると思うので、お付き合いいただければ嬉しいです。




