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………。
…………。
あの、いつ帰していただけるのでしょうか?
ここは、七條先輩の家。
一般過程より大きなその家は、まだ両親はいない。
ここに連れて来られ、いやここに来た時にそのことに気づいたが、それでもいつ帰ってくるかわからない。
ほら、ありそうじゃない?
こんなに出来た七条先輩なんですもの。
お母様もマダムちっくのお方で。
「お茶入れてきたよ。」
「…ありがとうございます…あちっ!」
「大丈夫?冷ましてあげるよ。」
渡せと言わんばかりに差し出された手。
湯呑みをでしょうか…。
おずおずと差し出すと、そのまま私の手を掴み、くるりと一回転した。
流石は生徒会長様。
お茶も一滴も垂らすことなく。
そうじゃなーい!!!
なんで私、先輩の膝の上にいるの!?
「どうしたの、紅くなって。」
「いや、間違いなくこの体勢のせいだとは…思わないんですね。」
「ふふ、かわいいねえ。」
「はっ、はあ!?」
「ねえ、君は今から僕の言うことに全部はいで答えて。」
「き、拒否権は…?」
「ないよ。」
「…。」
こええ。
なに聞かれる、私。
ここは素直にしたがったほうがいいのか?
いやいや、借金の肩代わり(?)させられるかもよ。
と迷っている間に、先輩の、く、唇が首に押し付けられて・・・。
「はい、言います、言います。だから離れましょう!!」
と言っていました。
・・・はい。
「何言ってんの、沙雪ちゃん。君はこの体勢が好きだよね?」
「は?」
「はい、でしょ?」
「・・・はい。」
鬼畜だ。こいつ、楽しんでやがる。
というわけで、首もとでしゃべられてくすぐったいのなんのって…。
「沙雪ちゃん…。」
「ハイ。」
「君が好きだよ。」
「は…え!?」
「ねえ、付き合って?」
これは、はいって、答えちゃいけない気が…。
「沙雪?」
「は、ひいいいい!!!」
「約束でしょ?」
「じょ、冗談は、ほどほどに…。」
「冗談?」
あ、やべ。
地雷踏んだ。
「冗談なわけないでしょ?
りりに頼んで虫払いも完ぺきにやったんだ。今日のためにね。
僕らは一回あってるんだよ?りりの紹介で。
一方的だけど、僕の気持、ちゃんと受け止めてよ。
出ないと、監禁しちゃうかもだから…。」
そんなこわーいっセリフ吐かれた私は、
「私にとって先輩はあこがれの人なんです」
といったにもかかわらず、先輩に丸め込まれ、付き合うこととなった。
次の日が平日だったことを、これほど喜んだ日はない。
今私の前には、十人前のパフェ。
前の私には、スプーンとフォーク片手に貪り食っていただろう。
断言する。
しかし、あの日から私は、甘いものがダメになった。
横では、七條先輩があっまーい言葉を投げかけてくる。
耳元で「結婚しようね」と言われた瞬間。
私は口の生クリームを盛大に吐き出した。




