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「新生徒会発足、おめでとうございます。」
会長に副会長。書記と会計、庶務が二人ずつの八人で生徒会は発足した。
今日は生徒会発足の打ち上げみたいなもの。
七條先輩が提案で、みんなでデザートを食べている。
私は五人前パフェ食べないのというりりの悪魔の声を退け、普通の一人前のティラミスを食べている。
「御園江さんって甘いもの好き?」
書記になったりりと会長と同じ二年生の榎木春先輩。
長い髪を少し巻いていて、お姉様っていう感じだ。
「似合わないって言われるんですけど。」
「そんなことないわ。だって御園江さんかわいいもの。」
「うぷっ。」
むせた。
かわいいなんて言われたことない。
「そうなんですよぅ。春ちゃん先輩。
うちのさゆっちは、こう見えてちょーかわいいんですよ!優良物件です。」
「やだ。早めに予約しとかなくちゃ。」
「私はあんたのになったつもりはない。物件でもない。」
「それはよかった。」
「げ、啓・・・先輩。」
私とりりの間に割り込んできたのは、先日のこともあってまだ気まずい七條先輩。
あれ、りり凄くいやそーな顔してるけど、先輩のこと好きなんじゃないの?
「りり、ダメだよ。御園江さんは買取済みなんだから。」
「うっひゃぁ・・・。」
せ、先輩が肩くんできてるぅぅぅ。
「そうゆうこと。御園江さん顔真っ赤よー。意外に純情ちゃん?」
「そうなんですよ。私この悪魔に脅されて護っていたんですよ!!」
「悪魔ぁ!?」
「さゆっち驚きすぎ。」
せ、せ、せ、先輩にあ、あ、あ、悪魔ってぇぇぇ!?
りり、畏れ多いだろ!!
「本当おもしろい子ね。そういえばなんで生徒会に?りりちゃんについて?」
私は上下に首を振るが、先輩がくっついてきて動けなくなってきた。
なにこの人!くっつき魔っすか!?
春先輩は私から事情を聞くのをあきらめたらしく、りりのほうを見る。
ああ、なるほど。という顔をして私に引きつった笑みを浮かべる。
「可哀想にね。」
「え?はっ!?何言ったの、りり!りりが一緒にやろうって…。」
「ごめんね。」
待って、待って!謝んなよ、どうした。りり!
「さて。」
先輩が拘束を解いて立ち上がる。
しかしまだ腕は掴まれたままだ。
つまり私は半立ち状態。
「そろそろ日も落ちてきたし、帰りましょうか。一応新生徒会発足メンバーの打ち上げはおしまい。
後は自己責任で家に帰るなりしてください。」
そういうと皆早足で帰っていく。
残ったのはこの席にいる私含め四人。
ほかの人たちは各自でカラオケなんやらに行く・・・と言っていたが。
「今年も面白いメンバーだったわね。」
「私としては、生徒会に入る気はなかったんですけどね・・・。」
「りり、どういうこと?」
「あ、聞いてた?」
「聞いてるわ!!」
ぽつりと帰り支度をしながらつぶやいたりりの言葉が私の耳の中に滑り込む。
生徒会に入る気なかったならなぜ入った。
尋問せねば。
せねばならぬはずなのに・・・七條先輩の手がそれを阻止する。
「御園江さんには、話があるんだ。」
「啓ちゃん・・・。さゆっちをいじめないでね。」
「もう遅いと思うけどね。御園江さん、嫌ならちゃんと断るのよ。」
「はぁ・・・。」
なんかわけわかんないなあ。
「さゆっち、今度事情話すから。五人前パフェ、八人前にしてもいいから!!」
「う・・・ん。食べきれないかなぁ。」
「そんなぁ!!」
「いいよ。ちゃんと聞かせてもらうから。じっくりとね。」
「ひぇっ。」
シャーーとりりに威嚇してから、春先輩と七條先輩がいたことに気付いた。
うあ・・・。忘れてた。
「やっぱ、かわいいなあ。御園江さん。沙雪ちゃんって呼んでいい?」
「か、構いませんけど…。」
「持ち帰りたいわー!」
「勘弁す。」
七條先輩の手から強奪され、ぎゅっと春先輩に抱きしめられる。
最近は抱き着き魔が多いこって。
「そういえば皆さん、生徒会以前に知り合いだったんですか?」
ぎくり。
そんな効果音が聞こえた気がした。
「そういえばりりさっき、七條先輩のこと啓ちゃんて呼んでた?」
「なんで覚えてるのよっ。」
「何を隠す必要がある?生徒会選挙はもう終わったんだよ。」
しれっという七條先輩は何を知っているんだろう。
生徒会選挙が終わっても、あと一年あるわけでしょ?ん??
「僕とりりはいとこ同士。春とは三人でよく遊んだいわゆる幼馴染だよ。」
いや、私此処居ちゃいけないんじゃないの?
そう言って帰ろうとしたけれども、なぜか女子二人に止められた。
・・・なぜ!?




