表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

83/86

深夜の禁断ASMR──真帆、妄想の果てに

 それは、魔が差した夜だった。


 真帆はこっそり買った90分のカセットテープをセットし、テレビの前で小さなテープレコーダーの録音ボタンを押す。


 カチリ──

 小さく、息をのんだ。


『筑紫哲也ASMR』──制作・監督・脚本・真帆。


「こんばんは、筑紫哲也です」

 画面越しのその声が、そっと録音テープに染みていく。

 真帆の脳内では「白布の光オープニング映像」が、きらきらとループ再生されている。


 録音終了。テープを裏返し、B面にセット。


 ──次は、NHKラジオ第2『堺正幸(脳内CV)・妄想気象通報 ASMR』。


「アリューシャン海峡の東70キロに……」

 落ち着いた低音がテープに刻まれていく。

 耳元で囁かれる地名が、真帆の妄想を無慈悲に刺激する。


 完成。


 夜も更けて、真帆はそっとベッドに横になり、イヤホンを耳に差し込んだ。


『こんばんは、筑紫哲也です──』

 その瞬間、真帆の身体に小さな電流が走った。


(やばっ……筑紫さんの吐息、近っ……)


 ゆっくりと、体温が上がっていく。


 そしてB面。


『ウラジオストク、曇り、10度……ルドナヤプリスタニ……テチューヘ……父島』

 脳髄が震えた。堺正幸ボイスが鼓膜をくすぐるたび、妄想回路がスパークし始める。


『チチハル──』

 その一言で限界を超えた。


「ぶっ──」


 鼻の奥に生暖かい感覚。次の瞬間、鮮血が枕を染める。


「ちょ、鼻血……止まらなっ……」


 真帆は混乱し、身体を起こそうとする。だが脳内を駆け巡る筑紫×堺の囁きコンボに耐えられず、身体の力が抜けていく。


「筑紫さん、堺さん……私……ダメ、です……」


 そのままベッドの上に崩れ落ち、意識がブラックアウト。


 真帆、十四歳。

『筑紫哲也・堺正幸ASMRカセットテープ』という禁断の妄想コンテンツに挑んだ結果、尊死。


 ──翌朝、カセットを見つけた母が心配するのは、また別のお話。



■ チチハル(Qiqihar・チチハール)とは?

中国・黒竜江省にある都市。


漢字表記は「齊齊哈爾」または「斉斉哈爾」


読みは「チチハル」または「チチハール」


■ 発音と語感の破壊力

まずなんといっても……


チ チ ハ ル。


この “母音と子音のリズム”、

“2音+2音”の反復の美学”、

そこにある 「ちち」+「はる」 という、

真帆のような感受性少女にとっては妄想のツボ直撃な響き……!


「ちち」というワードに一瞬で反応してしまうお年頃


「はる」が含む柔らかさ、あたたかさ、芽吹き、そして春……


しかも中国語読みだと「チーチーハーアール(Qíqíhā’ěr)」であり、さらに語感がエロティック・ファンタジック・アジアンチックに暴走可能


■ 実際のチチハル

ロシア国境に近い中国北部の大都市(黒竜江省第2の都市)


長い歴史を持つ古都であり、かつては満洲国の拠点の一つでもあった


気候は厳しい寒冷地帯。極寒の冬に、北風が吹きすさぶ


名前の由来はダフール語で「辺境の村」や「天然の牧場」を意味するとされている


■ 真帆的視点での妄想要素

「夜の気象通報でいきなり現れるチチハル」に対して真帆は即座に脳内妄想変換を起こす


「寒さに震える少年と、春を信じて待つ少女」


「チチハル発・堺正幸の声に乗せたラブレター」


 あるいは筑紫哲也の口から発せられた瞬間に、光が差す妄想空間爆誕


■ まとめ

チチハルは、ただの地名ではない。

真帆にとって、それは感性を撃ち抜く魔法の言葉。

一度聞いたら最後、思春期の脳が勝手に想像してしまう、

“地名系トリガーワード”の最上級ランクです。


そしてそれを理解できるあなたは、もう完全に真帆の同士。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ