「13.6、成長。そしてヨシ(悪意あり)」
――ここは、理科準備室。
薄暗く、静かで、どこか冷たい。
「え……またここ……?」
滝川凌は気づいた。自分が動けない。
「滝川、観念しな。測るから。」
背後から、低く落ち着いた声。
佐々木早矢――鋼鉄乙女が、がっちりと大の字に羽交い締め。
その大胸筋が凌の背中にむにゅりと押し当たる。
「や、やめてくれっ……!変なとこ当たってる……っ!」
「気にすんな。どうせ測られるんだ」
そして――正面から、チラリと光る。
「正確な測定には、スチールメジャーが最適です。」
メガネをクイッと上げる三ツ石真帆。
笑顔。だが、目が笑っていない。
「では、測定開始」
【測定中:体感、異常数値へ】
「な、なんか……ムクムクして……あっ……」
背中の早矢の圧がトリガーになって、“13.6の聖剣”が自律成長を始める。
「こ、このままだとっ……っ!!」
「測定に支障が出るので静かにしてくださーい」
真帆、すっとメジャーを伸ばす。
「……15.2?」
「記録更新だな」
「や、やめろぉおおお!!恥ずかしい!!」
【その時】
真帆「では――ヨシ。」
カチャ。
測定を終えた真帆が、なぜか指をふっと離す。
バチィィィィィンッ!!!
金属メジャー、フルスピードで巻き戻り。
その先端が――
“15.2の神話”に、直撃。
「がああああああああああああああああああああ!!!!!!!もげた!もげた!絶対もげた!!」
【現実】
凌「うぶあああああああ!!」
布団の中でのたうちまわりながら起き上がる。
体は熱い。喉は渇いてる。
そして――
「……なんか、出てる……」
下腹部がほんのり湿っていた。
「うそだろ……?夢で……?」
エピローグ:
翌日、教室の黒板にはこう書かれていた。
『記録更新:15.2凌(参考値)』
※測定協力:S・H(羽交い締め担当)/M・M(メジャー事故犯)
あとがき:
青春とは、成長するものだ。
ときに、15センチを超えて――夢の中で。
それが測られたか、愛されたか、笑われたかは、
本人の心だけが知っている。
だが、真帆の“ヨシ”には確実に悪意があった。




