謎の鉄骨屋根物語その3 ~「マジで打つ」と書いて「真打」(物理)登場~
「りょーくん、ここの市民プール、筋トレ後に最適なんだって」
真帆がそう言ってくれたのは、夏の日差しが照りつける午後。
(ふぅ…今日こそは平和な午後を過ごす…癒し…癒しが欲しい…)
と、そこへ。
「よっ」
鋭い声とともに、水しぶきを弾きながら現れたのは――澪。
しかも、筋肉バキバキな競泳用水着姿で、右手にはなんと、
「バール」。
「…なんでバール持ってきたの…?」
「水中筋トレ用。普通で満足してたら、強くなれないでしょ?」
まさかのプールに鉄の棒持ち込みに、周囲ざわつく。
係員:「お、お客様!危険物は――!」
澪:「これは私の“筋トレ用具”です(真顔)」
係員:「筋トレって…!?」
(ってか、持ち込めちゃってるし…!)
そこへ――。
「……来たか」
水面を割るように、もうひとりの競泳女子、早矢が登場。
「澪…その肩幅、鍛えてるね」
「ふん、アンタの広背筋も悪くない」
謎の筋肉バトルが、水の上で静かに火花を散らす。
そして…
「凌、こっち来なよ」
「いや、こっちが正しい水中筋トレのフォームだよ?」
右から早矢の太もも、左から澪の上腕二頭筋に挟まれながら、
水中で震える思春期男子・凌。
(待って…この状況…どっかで見たことあるような…)
「…凌、私たち、どっちが好き?」
「匂い的には…どっちに反応するの?」
(あれ…これって…)
「さあ、どっちを選ぶの?」
「今日で決めなさい。水着か、バールか!」
その瞬間――!
バールの輝きが水面に反射し、凌は目を閉じた。
「……はっ!!」
凌は飛び起きた。ベッドの上。
天井のシミ、ぬるい汗。現実。
(ゆ、夢……!!)
「良かった…バールで突かれてない…」
けれど、布団の中ではまたも“自己主張”が発生中。
(なぜ夢の中のバールが、こんなにも雄弁なんだ…)
夢から覚めても残る感触とにおい(幻)――




