文化祭LIVE編 「鋼鉄乙女withジンタン」――始動!
予備知識:学園の濃い脇役先生たち
◆ ペニシリン横山(英語科)
年配の女性教師。滝川凌が忘れ物をすると、謎の呪文「ペニシリン!」と叫びながら二の腕をつねる必殺技を発動。生徒の間では“抗生物質系体罰”と恐れられているが、実は情にもろい一面も。
◆ 理科年表1993・長谷川(理科)
理科室の主のような存在。昭和の空気をまとう女性教師で、転勤時に三ツ石真帆へ「理科年表1993」を託した伝説がある。“理科”と“哲学”をつなげる詩的授業が得意。
◆ ねっとり仁丹(英語科)
年配の男性教師。口癖は「みなさん、ステキ」だが、その語尾にまとわりつく“ねっとり感”が独特。銀の仁丹を常に持ち歩き、その香りは半径100メートルに拡散。生徒からは「仁丹界の支配者」と呼ばれている(かもしれない)。
文化祭前日。体育館裏には、異様な光景が広がっていた。
大量のアンプと機材、そしてドラムセットのパーツを――
早矢と澪が競い合いながら担ぎ上げていたのだ。
「よっしゃ、バスドラ二個、片手で運べたぞ!」
「ふん、私はスネアとスタンド抱えて50メートルダッシュ決めたけど?」
「お前、筋トレじゃねえんだぞこれ!」と、玲央がツッコむも時すでに遅し。
設営時間:驚異の15分。
通常の3倍の速度でリハーサルに突入。
バンド名は「鋼鉄乙女withジンタン」。
メンバーはもちろんこの4人。
ドラム:早矢(ツインペダルで爆走)
ギター:真帆(仁丹入りピックを使う謎仕様)
ベース:澪(低音でも全員を震わせる破壊力)
ボーカル&キーボード:玲央(澪と声はそっくりなのに妙に可憐)
ジンタン(仮マスコットキャラ)もちゃっかりMVに出演し、観客の心をがっちりキャッチ。
ステージMC(玲央):
「私たちは“鋼鉄乙女withジンタン”! 筋肉と音と匂いで、あなたの鼓膜を破壊しに来ました!」
観客:
「破壊しないでー!!」「でも最高ー!!」
※なお、この演奏中、客席後方で滝川凌が感極まって鼻血を出していたのは、言うまでもない。
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鋼鉄乙女 with ジンタン/文化祭セットリスト
1. ペニシリン
―謎の青春疾患と甘酸っぱい後遺症を歌ったオープニングナンバー。
2. あの春の理科年表1993
―真帆の弾き語りによる、別れと出会いを紡ぐ学問バラード。
3. 鋼鉄乙女が焼きを入れた37炭素鋼平バール、どうぞ召し上がれ
―剣道部系女子の圧が炸裂するメタルテイストなアクションロック。
4. スクラップビルド!一本の炭素鋼平バールが日本の地図を変える!
―なぜか社会派。澪がメインボーカルの全力叫び系インダストリアルロック。
5. リフレインが叫んでる(仁丹ver.)
―松任谷由実オマージュ。仁丹の香りと記憶を重ねる、芳香系シンセポップ。
6. 筋肉だけじゃだめですか(NEW!!)
―鋼鉄乙女のテーマソング。早矢の魂のシャウトが泣ける、筋肉バラード。
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1曲目:『ペニシリン』
(作詞:三ツ石真帆 作曲:玲央)
イントロからベース澪の地を這う重低音が響き渡る。
真帆がコードをかき鳴らしながら、薄く笑ってマイクをとる。
「愛なんて、滅菌できない。」
バンド初期の代表曲。
青春の傷跡に効くのは、消毒液じゃなくて音楽――というメッセージが込められている。
2番に入る直前、早矢のドラムソロが炸裂。
スティックが宙を舞い、観客が悲鳴を上げる。
それを片手でキャッチする玲央。「仕込み通りだよ」とウィンク。
MCタイム:
玲央「次の曲は、真帆の――いや、私たちの特別な1曲。」
真帆「卒業アルバムに貼れない青春が、ここにはある。」
ーーー
2曲目:『あの春の理科年表1993』
(作詞作曲:三ツ石真帆 ギター弾き語り)
場の空気が一転。
真帆がギターを抱え、照明がふわっと落ちる。
「離任式の日、もらった理科年表。
その日から、私の時計は――少しずつ、音楽に寄っていった。」
中学3年間の想いを詰めた珠玉のバラード。
ギターの音に、早矢のシンバルがそっと寄り添い、
玲央のキーボードが“桜吹雪”を描くように響く。
ラストのサビは、観客の中で泣き出す者も。
そのとき、滝川凌は体育館の端で体育座りをして、涙と鼻水と汗と“何か”を同時に流していた。
ーーー
3曲目:『鋼鉄乙女が焼きを入れた37炭素鋼平バール、どうぞ召し上がれ』
(作詞:澪&早矢 作曲:玲央 アレンジ:近藤先輩)
イントロは静寂。
だがそのあと――ドゴンッ!!
体育館の床が震えるような重低音。
早矢のバスドラム×澪の鉄パイプ(※本物)によるリズム隊が、物理的に圧をかけてくる。
歌詞(一部抜粋):
「女の子だと思って舐めた?
鉄を焼く音、聞いたことある?」
「37の衝撃、耳だけじゃ済まないよ
脳天まで、焼き入れてやる。」
玲央がヘッドバンギングしながら絶唱。
ギターを振り下ろす真帆の背後で、
澪が本当に炭素鋼バール(レプリカ)を構えて観客を煽る。
早矢のドラムソロ中、
「行くぞォッ!!」というシャウトとともに、譜面台が宙を舞い、レーザービームが点滅する演出。
ラストは4人並んでの“仁王立ちバールポーズ”。
その姿に、観客全員が思った。
「……この子ら、絶対に怒らせちゃいけない。」
ステージに響く真帆のセリフ:
「どうぞ召し上がれ――命ごと。」
バンド名に恥じぬ圧巻のステージ。
「鋼鉄乙女withジンタン」…伝説は、ここから始まった。
ーーー
『スクラップビルド!一本の炭素鋼平バールが日本の地図を変える!』
(作詞:澪/ラップパート:玲央/作曲:真帆/構成演出:早矢)
【イントロ:】
静かな街の夜景を映したスクリーンに、一本の黒光りする炭素鋼バールがスローモーションで回転しながら落下。
BGMはまるで映画の予告編。
そして……
ド ン !
「ここから、すべてをぶっ壊す。」
早矢の低音ボイスが鳴り響き、観客の鳥肌が立つ。
【Aメロ:真帆】
「未来を描く 地図の上に
錆びたレールじゃ進めない」
「打ち砕け その“当たり前”を
このバールで――新たな道を」
真帆の美声に乗って、観客の胸の壁も崩壊寸前。
【Bメロ:早矢×澪】
「筋肉で組み上げろ
理想という名の鉄骨を」
「叫べ!叩け!揺らせ!
女子が壊す、この国の常識!」
【サビ(全員)】
「スクラップ!ビルド! もう一度生まれ変われ!
ジェンダー? 古くさい! 炭素鋼で再定義!」
「一本のバールが、未来を叩く!
YES!地図を、変えろォォォ!!」
【ラップパート:玲央】
「お決まりルール、ぜんぶ粉砕
汗と涙と、鉄のカタチ
制服だって選ばせてくれよ?
心の重り、もう脱ぎ捨てた」
【ラスト:澪の絶叫】
「私はバール! 私は鋼!
私が未来をこじ開けるッ!!」
演出で日本列島の地図がLEDで割れ、再構築されるCG映像。
「男女」でも「強弱」でもない、新しい地図が浮かび上がる。
ーーー
『(仁丹)リフレインが叫んでる』
作詞:三ツ石真帆/作曲:まるで松任谷由実
【イントロ:】
ピアノの繊細な旋律に、銀の仁丹がカラン…と転がるSE。
スクリーンには静かに過去の光景が浮かぶ――
凌の鼻が、そっとマウスピースに近づいていたあの日。
【Aメロ】
口づけじゃなくて、銀粒だった
においじゃなくて、記憶だった
鞄の奥に忍ばせた
あなたがくれた、
あの“清涼感”
【Bメロ】
吐息のたびに リフレイン
あの味が、戻ってくるの
フルートの音に紛れて 君のことばかり
【サビ】
仁丹が叫んでる、胸の奥で
忘れたふりの、あの日々が転がる
あなたは変態、だけど優しい
銀色の恋が今、私を責めてる
【間奏:】
トランペットのソロが切なく響き、舞台中央に仁丹の受け皿がスポットライトで浮かび上がる。
凌はうっかり両手で持ち上げかけて、早矢に止められる。
【ラストサビ】
リフレインが、叫んでる…
「お願い、もう一粒、あなたの清涼感を」
でも仁丹って、口にするより匂いで感じたいの。
それが――青春。
エンディング:
全員で、白いスーツに銀のネクタイで登場(どこで着替えた)。
銀の紙吹雪が舞うー
ーーー
『筋肉だけじゃだめですか』
歌:鋼鉄乙女 with ジンタン
【イントロ】
(ドラムスティックが鳴る "カッカッ" 音。早矢の腹筋がアップで映る)
【Aメロ】
かわいいなんて言われたくて
鏡の前でポーズ決めても
筋肉の影が邪魔をする
これが私の、生きる道なのに
【Bメロ】
タンパク質と涙を、混ぜ合わせて
今日も限界突破!
だけど……たまには誰かに
よしよしされたいの
【サビ】
筋肉だけじゃだめですか?
この腹筋の奥の想い、わかってほしい
強くなることだけが、
私のすべてじゃないのよ
ハートだって、絞ってるの!
【ラスト】
スクワット100回のあとで
あなたの言葉が響いた
「でもさ、やっぱり…かっこいいよ」
それで、私は救われたんだ。




