表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/86

マウスピースと犬の鼻 ~鋼鉄女子VS音楽少女のフェロモン対決~

「凌、どっちが好み?」


 そう言って、三ツ石真帆が差し出してきたのは、金属の小さなパーツ。

 彼女がトランペットの練習で使っていた、吹きたてのマウスピースだった。


「……吹いた直後……だよな?」


「うん。さっきまで、口つけてた」


 口の形、唇のぬくもり、呼気の湿度。

 鼻先に近づけると、そこには独特の香りがあった。

 金属のひんやりした匂いの奥に、リップと唾液が溶け合った甘さがある。


(やばい……これも、いい……)


 そのとき、ドアが開いて、佐々木早矢が入ってきた。


「……匂いで浮気とは、最低だな、犬」


「ち、違う!これはその!」


「マウスピースとマスク、どっちがいいの?」


 真帆の挑発的な視線。


「お前は私の腹筋に拳を入れたくせに……」


 早矢の冷ややかな声。


 教室に流れる火花。俺の嗅覚センサーは限界を超えた。


(どっちも良すぎて選べない!!)


 その晩。俺の夢に、マスク姿の早矢と、トランペットを吹く真帆が交互に登場。

 匂いが交錯し、気づけば俺は布団の中で、


「また……やっちまった……」


 命の匂い。フェロモンの渦。


「これが……青春ってやつか……?」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ