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公爵の依頼

 俺の力のことがバレているなら公爵はここに来ることもないだろう……ならば、セリスとミーシャが協力関係であるという点については何かしら確証を得ていて、その一方で俺については何も知らないということか。

 組織側からどういう連絡を受けているのか……色々と考えつつ、俺は話を進めることにする。


「公爵、ミーシャ王女の行動については私も驚いているのですが……ただ、性格上大きな情報を得ればやりかねなかったというのもまた事実」

「王女は政治闘争についても積極的だからな」


 その点については公爵も理解しているらしい。


「確認だが、ミーシャ王女がどんな情報を得て騒動を起こしているかは知っているか?」

「それもわかりません。そもそも王女がそうしたことをやっている、というのを知ったのはつい最近のことですから」

「うむ、そうか……」


 やはりこちらを探るような目。うーん、俺のことを知っているかどうかを含め、まだ判然としないな。


 ただ俺が力を持っていることについてはわかっていない様子……たぶんだけど、ミーシャとセリスが何かしら動いていることは察していて、その中で俺が情報を持っていないかを確かめに来た。

 そこまで考えて俺は一つ察した。たぶん壊滅した拠点から魔力か何かを収集し、セリスやミーシャが動いているのを知ったのだ。しかし俺については戦闘経験などないため確かめようがなかった。


 これなら合点がいくな……考えていると今度はジャノが俺へ告げた。


『向こうは何かを探っているようだな。とはいえエルクに対する警戒はほぼないようだ。まさかエルクが魔物を滅ぼした、というのは夢にも思っていない様子』


 ……それなら話は早いな。俺は一考した後、公爵へ向け口を開く。


「公爵、私としても王女について少し調べてみようかと思います」

「ほう、具体的にはどうする?」

「おそらく私ならばミーシャ王女と接触し、どういう経緯で情報を得たか、など調べることもできるかと」


 俺の発言に公爵は幾度か頷いた後、


「ならば、一つ確認したいことがある。実を言うと私はリーガスト王国の知人から色々と情報が欲しいと頼まれていてだな」

「情報……ですか?」

「うむ、ミーシャ王女は大きく政治を動かせる強力な情報を持っているが、その詳細はわからない。その辺りの情報を求めているが、王女が公開することはない……その人物は犯罪などに手を染めているわけではないが、顔が広く間接的に悪事に関わっているかもしれないと不安らしい。よって、何かしら情報が欲しいと」

「……情報を得て、王女に自分は無実だと主張したいと?」

「ああ、そのようだ」


 理由としては……まあ、本当のことを話すわけにもいかないので、それなりの理屈といったところだろうか。


 公爵としては可能な限り情報を得たい……つまり、拠点壊滅によって自分のところに影響が出るのかというのを確かめたい。

 たぶんだが、公爵はミーシャの情報が得られる可能性を探り、色々と動き回っているのだろう。


 早急に情報が欲しいとは思うのだが、そこはおくびにも出さず俺に話を持ちかけている……正直、俺に期待しているのかは不明だ。ただ、ここで公爵を繋がりを持っておくと、色々と役立つかもしれない。


「私ならおそらく怪しまれずに尋ねることができると思いますが……」

「うむ、ならば頼もうか」

「はい、わかりました」


 公爵としては満足な回答だったか、話はまとまった。まあ態度からしてもし成功すればラッキーくらいの感覚なのだろう。

 そこから雑談に興じた後、公爵は帰った……ミーシャとの連絡手段は確保している。とりあえず公爵が来たことを報告して、彼女の反応を待とう。


『公爵はあらゆる手を打っているようだな』


 そうジャノは語り出す。


『エルクに話を向けるくらいなのだから、相当追い詰められているのか?』

「まだ組織拠点壊滅により、どれだけ被害を受けるかはわかっていないと思う。ただ対応が後手に回れば間違いなく自分の身は破滅する……いかに皇帝の弟とはいえ、さすがに組織に関する情報が露見すれば終わりだから事前に色々と策を仕込んでおこう、というくらいじゃないか?」

『そんなものか……これで公爵を含め組織に関わっていた人間が動き出していることがわかったな』

「ああ、間違いなく帝国内でも騒動が起きる……今は情報をミーシャが握っているが、それが帝国内に伝われば……いや、もしかするとミーシャは事前に帝国へ情報を伝えていた可能性もあるか?」


 セリスがいるため、例えば皇帝陛下に直接話を通すことも……そうならば、公爵はあっという間に追い詰められそうだが……。


「とはいえ公爵の方も全力で抵抗するだろう……そうなったらやはり反乱として抵抗ないが荒れるか」

『帝国側としては当然、騒動による影響を最小限にしたいだろうな』


 ジャノの言葉に俺は頷く……こうしているうちにも、様々な謀略が帝国内を駆け巡っているだろう。その中で俺は……考えつつ、俺は部屋へと戻った。


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