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蒼き女神の救世主~世界を滅ぼすラスボスから、世界を救う英雄へ~  作者: 陽山純樹
第一章

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思わぬ来客

 力の見た目を変える作業を始めてから十日後、リーガスト王国で大規模な政変が起こったという情報を得ることができた。

 俺の所まで情報が届くのに多少タイムラグがあるのだが……少なくとも情報が届いた二日前くらいに騒動が巻き起こり、リーガスト王国内でかなり混乱があるらしい。


 ミーシャとしては想定通りだろうし、この混乱も考慮した上で色々とやっているだろうけど……そういえば、次期女王となる彼女には政治的な思惑で付き従う人と、逆で地位を脅かそうとする人間がいたはず。

 いずれ権力を持つと考えればすり寄ってくる人間も反発する人間もいるのは間違いない……ミーシャ自身の性格も結構強気だからな。重臣の中には自分が思い通りに政治を動かしたいという考えの人間もいる。そんな人間にとってミーシャは女王になることは面白くないわけだ。


 そうした人間が組織にいる可能性は高く……結果として彼女に反発している勢力はかなり縮小されるだろう。これを機に次期女王としても地位を盤石なものにする……まあリーガスト王国内のことについては正直、俺としてはあまり関係がないので、ミーシャのしたいようにすればいい。

 国境に面しているルディン領の領主としては、交流のあるミーシャが女王になってもらった方が俺としてはやりやすい。問題は帝国内の動向だ。組織拠点が壊滅したことはミーシャが動き出すより前にラドル公爵なども察知していることだろう。


 現時点で情報を集めても何も出てこない。加えて修行の合間に山々に対し気配を探ったりもしたけど、動きはないし凶悪な魔物が出現したというわけでもない。よって俺は修行に専念できたわけだが、ここまで動きがないと逆に不気味な気がしてくる。

 リーガスト王国で吹き荒れる大騒動についても情報は届いているはずだが……セリスから何か報告が来るかなと期待したが、現時点で何もなし。まあ彼女の方も色々と動き回っているかもしれない。魔物討伐とは異なり勝手も違うため、俺へ報告する余裕すらないという可能性も――


 俺は色々と考えつつ領主として活動しつつ修行に明け暮れる……だが情報を得てから三日後に思わぬ人物が来訪した。






「すまないね、突然」


 昼前になって来客があるとのことで、俺は客室に通した人物と顔を合わせる。その人物はラドル公爵。前回と同様に事前に通告もなしにやってきた。

 ただ、前回とは異なりなんだか焦っているような、余裕のなさが窺える……俺が力を得たから理解できるという面もあるが、これまで顔を合わせてきた時と違い物腰もずいぶん忙しない。


 そうした所作から、明らかにリーガスト王国内で吹き荒れている騒動は知っている――さらに言えば組織拠点が壊滅したことも。おそらくミーシャと交流がある俺に話を聞きに来たのだろう。

 こちらとしては絶対に力を持っていることがバレてはならない……もし相手に把握されてしまうと面倒なことになるからな。よって意識的に気配を押し殺しつつ、俺は公爵と話をする。


「こちらとしてはいつでも客人をお迎えする準備はしていますので、問題ありませんよ。それで、今日は何用で?」

「うむ、君はリーガスト王国内で起こっていることについては知っているか?」

「はい、何でも王女がリーガスト王国内に存在する敵対勢力……現在の政治体制に反発し反逆の疑いがある人達を相次いで捕まえたり要職から更迭していると」


 俺が答えるとラドル公爵は小さく頷き、


「うむ、そこについて君は何か知っているかと思ってね」

「私が王女と交流があるため、ですか?」

「そうだ」

「……もし山岳地帯に関することであれば話が来てもおかしくありませんが、何もありませんね」

「そうか……」


 チラッと俺のことを見る公爵。もしや何か情報をつかんでいて、探りに来たとかだろうか? 公爵の領地からルディン領までは遠いし、何かしら根拠がないと来ることはなさそうだし。

 こちらが沈黙していると、公爵はさらに質問してきた。


「少し前にセリス皇女が魔物討伐を行っただろう」

「はい、それについては私の方にも報告が届いています」


 勇者と共に行った討伐についてはちゃんと報告が成されている。ただ拠点を壊滅させた点についてはセリスが意図的に公表していない……というか、その功績はミーシャによるものだとしている。


「皇女が例えば、ミーシャ王女と手を組み何かしら活動をしていた、などという可能性はあるだろうか?」

「……お二方は友人関係なので、話自体を通すことはできるかと思います」


 俺は公爵の問い掛けに対し答える。


「ただ、リーガスト王国で現在巻き起こっている騒動……その点について何かあったかは、判断しかねます。それにあくまでリーガスト王国内の話に留まっているため、皇女が協力する理由はないのでは?」

「うむ、そうだな」


 公爵は相づちを打つ……が、まったく納得していない様子。

 もしかして何かしら情報をつかんでいるのか? だが、もしそうならもっと具体的な話をしてきても良いはずだ。


 公爵は意図は何か……俺は彼へ視線を向けつつ、思考を始めた。


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