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小学校

「──お母さんやお友達、大切な人が死んだら悲しいでしょ?だから人殺しはいけないの」

 少し悩んだ先生は、彼女へ優しく諭すように答えた。

 しかし、彼女は納得できなかった。

 悪い事だ。

 人が悲しむ。

 そんな事はわかっていた。

 それでも、罰せられるとわかっていても人を殺す人はいる。

『人を殺してみたかった』

 そんな理由で人を殺す人がいるのだ。

 だから、彼女は先生に尋ね続けた。

 何故?

 どうして?

 世界から殺人は無くならないのか?

 あの犯人は殺人を犯したのか?

 どうして?

 彼女は納得するまで尋ね続けた。

 そして、最後に先生はこう答えた。

「そんなに気になるなら自分で調べなさいっ!」

 自分の答えに納得しない彼女に教師は怒り尋ねる声も無視して何処かへ行ってしまった。

 それでも彼女は自分の疑問を諦めきれなかった。

 だから彼女は先生の言うとおりに自分で調べだした。

 彼女が親から与えられていたお古の携帯端末には制限がかけられていなかった事が幸いした。

 今朝観たニュースの詳しい内容、更にはもっと詳しい過去のニュース、犯人の顔写真や詳しい経歴、家族構成まで様々な情報を彼女は手に入れることが出来た。

 しかし、それでも彼女はわからなかった。 

 何故犯人は人を殺してみたいなんて思ったのか。

 彼女の疑問は燻り続けた。

 似たような事件、似たような犯人、様々な殺人事件、様々な殺人犯。

 彼女は納得するまで調べ続け、時には海外のサイトを機械翻訳にかけてまで調べ上げた。

 しかし、それでも彼女は理解できなかった。

 だから、彼女は試してみた。

 やんちゃな男の子達がやるように小さなバッタを捕まえ、小さな指で抵抗するバッタの後ろ足を一本摘み、勢いよく引っ張るとそれは簡単に取れた。

 足をもがれたバッタは、それでも死ぬ事なく残った足で必死に抵抗した。

 彼女は残った後ろ足を摘み、今度はゆっくりとそれをもぐ。

 それでもバッタは死ぬ事無く、残った四本の足でもがいた。

 彼女は残った足四本を一本づつプチプチともいでいく。

 足を全て失ったバッタは抵抗という抵抗も出来ず、それでも首と触角を動かし続けた。

 それを見た彼女は、今度は羽根を毟り取った。

 足と羽を全て失ったバッタはそれでも口を蠢かせる。

 芋虫のようになったそれを彼女は捨てなかった。

 その顔がよく見えるように持ち、ゆっくりと締め付けたのだ。

 足も羽も失ったバッタは、もがく事もできずゆっくりと口から黒い液体を吐きながらぐしゃりと潰れた。

 彼女は潰れた死体を投げ捨て、バッタの体液で濡れた手の平を見つめると手洗い場に歩いて行った。

 まだ理解は出来なかった。

 虫だから駄目だったんだ。

 そう思った少女は今度は蛙で試した。

 水辺で捕まえた蛙をアパートに持ち帰った彼女は、台所でそれを包丁で解剖した。

 暴れ、激しく抵抗した蛙グチャグチャになってしまったが、それでもバッタと違って血が飛び散り、ヌラヌラとてり光る内臓を彼女はしっかりと観察した。

 血の赤黒さ、内臓の匂い、肉の輝き。

 彼女は物足りなさを感じた。

 その晩、寝静まった後に帰ってきた母に彼女は酷い折檻を食らい、それ以降彼女は台所で蛙を解剖する事は無かった。



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