↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
満月の夜に出会った男  作者: 烏川 ハル


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
2/5

第2話

   

 夏は終わり秋も深くなって、夕方の六時にはすっかり日が沈んでいる。そんな季節だったので、会社からの帰り道、最寄駅の改札を出る頃には、既に空は暗くなっていた。

 駅前の大通りをしばらく歩いてから、信号のない交差点で曲がって、住宅街へと続く小道に入る。そこから先は裏道なので、街灯も若干疎(まば)らになる。

 とはいえ、夜空には月が浮かび、星も瞬(またた)いていた。十分に明るいし、むしろ人工的な灯(あか)りが減った分、自然の灯(あか)りが目立つようにもなる。月と星の光を浴びて夜道を歩くのも、なかなか乙なものではないか。


 平凡な日常の帰路の中で、そんな小さな風流を感じた私は、ふと足を止めて、夜空を見上げていた。

 薄(うっす)らと雲はかかっているものの、星と重なってもその光を妨げない程度だ。しかも月の浮かぶ辺りには一切の雲がなく、まるで「今夜の主役は月だから、近づくだけでも恐れ多い」と言っているかのようだった。


 私の真上に浮かんでいたのは、まさに「真ん丸」という言葉が相応しい完全な円形。そんな美しい月を目にするうちに、私の口から漏れたのは、感嘆の声だった。

「そうか、今夜は満月か……」

 そういえば昼休み、会社の給湯室で、若い女性社員たちが月見団子の話をしていた。彼女たちは今頃、家族や友人たちと一緒に、お月見の真っ最中(さいちゅう)かもしれない。

 そんなことを考えていると……。

 後ろから声をかけられた。

「なるほど。あなたにも、あの満月が見えるのですね?」

   

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。