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クワンティエンの夢  作者: 多谷昇太
吉野の桜
9/80

まさかあ、藤原九条とか、三条の方…?

何とも不思議そうな表情を浮かべて何かを感じているようすだったがしかしすぐに我に返って「い、いや、失礼。お顔同様すばらしいお名前で一瞬自失してしまいました。ははは。まさかあ、藤原九条とか、三条とかのお方じゃありまへんでしょうな…」と聞く途中でまたクラクションが鳴らされる。ふり返って「やかましい!」と怒鳴ったあと鳥羽は「いや、まったく関西人はせせこましくて礼儀も知らずに…ははは。すんまへん、大声出してもうて」と謝ってみせる。

「とにかく居られても居られへんでも必ず2時間もせんうちにお伺いしますさかい、ひとつ、よろしゅう…では」と付け足してようやく車の方へと歩きかけたが、何かを思い出したかのようにまたこちらを向いて「あ、そうそう、さっきどなたか桜咲いてへんとか云われてましたけど、もうすでに満開ですよ、桜」と云う。それに郁子が「えー?どこがですか?かかる冬枯れぞ、なんですけど」と訊くと鳥羽は面白い子だとばかり軽く笑って見せ「いや、私には、ですよ。いまが満開の娘さんたちに囲まれて、まぶしい限りですがな」と皆を持ち上げてみせる。さきほど同様匡子らが「いやだ」「お上手」などと黄色い声を上げる。あとあとを考えて、またつい怒鳴ってしまった自分の恐いイメージを払拭しようとしてそうしたのだろう。鳥羽老人はようやく車の人となった。


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