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恵美さんの大喝は必ず叶います
梅子は正直まだ説法を聞きたかったのだが成り行き上仕方なく「ちっ」と舌打ちすると顎を立てにふって恵美にGOを出したようだ。ニヤっとばかり恵美がもの凄い笑みを顔に浮かべてことを起こそうとした刹那「‘いにしえ強の武者の悪癖、いまに出すまじきことをなむ願いたてまつる…’」とさきほど鳥羽にかけた呪文のごときものを僧が唱えると、不思議や恵美のイラつきがピタリと止まってしまい、ことを起こすどころか、いっかな口さえもきけなくなってしまった。その恵美に僧は「恵美さんの大喝は必ず叶います。もうほどなく、すぐです」と予言めいたひとことをかけておく。突然の身の不随に憤懣やるかたない恵美のその背後に、この時武者兜をまとった大男の影が見えたのは幻影だったろうか。




