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クワンティエンの夢  作者: 多谷昇太
吉野の桜
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え?藤原亜希子?

しかしそうは云っても方やの梅子に於いても必要以上に亜希子に盾突く感があって、今もその梅子がひとこともの申そうとした刹那、駅前からやや離れたところに路駐していた車がクラクションを軽く2回鳴らした。見れば黒塗りの高級セダンが止まっていて運転席には制帽と白い手袋姿の運転手がおり、後部座席の窓が半分ほど下がって、そこから和服の婦人が白い手を突き出してこちらに振っている。隙間から垣間見えた顔はよくはわからなかったがおそらく30代くらいの妙齢の麗人と見えた。この老人の娘だろうか、とにかくそれへ手を上げて合図を返したあと「すんまへん、人を待たしてるもんでここで失礼します。2時間くらいあとに西行庵へ行きますさかい、もしまだ居られたら、是非お手合わせのほどをお願い致します。あの、わたし名前は鳥羽と申しますが、さきほど確かシラカワ女子大の方…とか何とか伺いましたが…もし失礼でなかったらリーダーの方なり、お名前を聞かせて頂けないでしょうか。初対面でまことに失礼な話ですが…」と云いわけも出来なそうに逡巡するのに「藤原、藤原亜希子と申します。その時間にはちょうどいるはずですので、こちらこそ是非…お待ちしています」と云って亜希子は老人、いや鳥羽に頭を下げた。「藤原亜希子…」とおうむ返しに云ったあとなぜか一瞬鳥羽老人は亜希子の顔に改めて見入った。

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