脚注終わり&本文の続き
ただ例え崇徳上皇が怨霊などとは無縁のお人柄だったとしても、当時も、後世に於いても、このように誤解されて祭り上げられ続けるならば、さぞや心穏やかならず、なのではないでしょうか。しかしそれならば語るに落ちるで「お前も祭っているではないか」となるのですが、そこはクワンティエン追求の指向のもとに「異なり」を強く申し上げたい。方々(の御霊)や読者の方々に於かれましては、どうかこの先を御覧じませと申し上げるしかありません。しかしそれははたやはた、いかにも得手勝手、不遜過ぎることでしょうか…? ※以上で脚注終わり、以下小説本文に戻ります〕
「ああ、いいわよ。説法でもレクチャーでもしてみせるわよ」とあたかもヤクザの口上然として梅子が凄む。おさえることができないほどの理不尽さへの怒り、とでもいうものが梅子にはあるようだ。
「私はさあ、クワンティエンの逸話などといういわば〝世迷言〟に、昇華させるあんたの指向がそもそも気に入らないのよ。イワシの頭も信心からで、信仰さえしていれば徳になるとでも云うの?事実・真実から目をそむけて南無、南無とでも云ってればそれで済むわけ?その女性兵士がサルから逃げていたというのも、サルにやらせるのが人倫にそむくのもあるだろうけど、他のものから逃げていたのだと思うわ」
「他というと?」と鳥羽が訊く。梅子の見せるくやしさにどこか心打たれた感がある。
「下らなさよ」吐き捨てるように梅子は云って更に「こんな茶飯で馬鹿馬鹿しい社会やその極みのような戦争から身を引きたかったのだと思うわ。




