「蛇身」→「へみ」→「かみ」→神
などとうそぶくのに「ふん」とばかりそれを一蹴して「それならやっぱり雲水さんとだけお呼びするわ。じゃあ雲水さん、まず観音からね」と、ここで梅子が息を吐く。折りしも遠雷ながらカミナリが直後にとどろいて梅子の長広舌が始まった。
「観音と云うのはもちろん亜希子のことよ。ついでに云えば祠でのストリップもそうだわね」ここでちらっと亜希子の顔を見てから「‘純蜜の趣はなはだ強し’というのと掛け合わせでしょ?彼女はお美人さんで頭もいい、だから当然過ぎた自信家となってしまう。ご本人さえ望むならこの先どんな玉の輿にでも乗れるでしょうよ。エクスタシーの身悶えっていうのも亜希子への云い当て妙で、そこからはそうねえ、どこか蛇の趣きさえ感じるわねえ。だってさ、エクスタシーっていうのは、こう身をくねくねとさせるんでしょ?ちょうど蛇みたいに(ここで先程の僧同様に身悶えの卑猥な格好を演じて見せる)」
こらえかねて亜希子が強く咳払いをしたが、平気な顔をして「もっともここで云う蛇というのはナーガ、古代世界に君臨したという大蛇のことだけどその業を感じるわ。昔は蛇が神だったのよ。当時蛇に‘蛇’と‘身’という漢字を当てて‘へみ’と読んでいて、さらにそれを‘かみ’とも読んでいたの。だからいまの神、ゴッドの呼称も本当はそこから来ているわけ。エクスタシーというのは後期密教の無上瑜伽タントラに通じている。この無上瑜伽タントラというのは早い話が仏教における情欲の是認ということで、男女混合の性的喜びを何と法悦として置きかえているのよ。




