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クワンティエンの夢  作者: 多谷昇太
クワンティエンの伝説

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ベトナム戦争における奇談(2)

また常々彼女はこの戦争というもの、同じベトナム人同士で戦う、また女までもが戦地に狩りだされねばならないというその狂気に、疑問と嫌気がさしていたのです。そんな折り…お待たせいたしました、沐浴です。近くの泉に行って身体を洗うのが日課となっていたのですが、どういうわけか彼女が沐浴するたびに一匹の猿が来て、しげしげと彼女の裸体をいとしげに眺めまわすのだそうです。他の人間はいっさい関係なくて彼女だけ。白い星形の紋様が黒い毛の胸のあたりにあったのでいつしかその猿を星の王子様と命名したりしていたのですが、しかしだんだんとその女性兵士は猿の目線が煩わしくなって来ます。動物の性本能とは違う、人間の愛にも似たそのいとしげな視線に、あり得ることかだんだんと心が傾く自分に気づき、それを恐れもしたのです。ついに堪えかねた彼女はあとから配属された仲間の男性兵士に頼んで、とうとう猿を撃ち殺してもらいました。しかしその折なんとも云えない罪悪感と悲しみが胸に走ったのだそうです」。

 いつしか一同シーンとして僧の話に耳を傾けていた。鳥羽までもが。一羽の尾長が近くの茂みを鳴らして飛びったが誰も目を向けない。午前中の雪もようだった天気が幸いして亜希子らの他に観光客も訪れないようだ。庵の前ではあたかもそこから御来臨された西行法師が説法をしているかのごとき、一種特異な観をなしていた。


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