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禊のシャワー
しかるにまた…ということで少なからず娘の心は苛まれざるを得ない。特に今日という日は彼女にとっては神聖で、今日これからある聖所詣でに出発するのだったが、この様ではそこにおわします聖人に言いわけができず、また集う仲間たちにも面目が立たなかった。せめて身体だけでも清めて行こうと思い立ち、寝具をはらいのけて、朝シャンならぬ朝シャワーを使うべく娘は風呂場へと向かう。ここのところ春らしからぬ寒さが続いていて、彼の聖人と聖所になくてはならない桜の開花が娘の住む東京では遅れていた。聖地がある関西地方はどうなのだろう?風呂場の小窓を開けて外を見たが春どころか冬のくもり空が広がっていた。雪さえも降って来そうだ。先が思いやられたがそれを振り払うかのように、娘は寝間着も下着も勢いよく脱ぎ捨てて全裸となり、禊をするようにシャワーを使い始めた…。