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クワンティエンの夢  作者: 多谷昇太
鳥羽老人と歌合わせ

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29/80

鳥羽老人、正体を明かす

「すみません。失礼なことばかり申し上げて…」亜希子がとりなそうとするが「いや、なんも。ハハハ…」としかし鳥羽は鷹揚に笑ってみせた。だがさすがにその顔はひきつっていて、いくばくもなく「何や知らん、若いことがえろう自慢なようじゃが、ほな、わしの歌ではないが万葉集から一歌引きまひょか?こないはどうや」とややまなじりを決しながら「‘白髪して子らも生きなばかくのごと若けむ子らにのらへかねめや’。あんたらもいつかは年取るんやろ。そん時にこないして、若い人らから云われまくったらどない思う?そりゃああんたら、少しは時間的空間的に立場を変えて、相手の身にもなって考えることをせにゃ…」などと云ってしまい、さらにそれで終らず「そりゃま、確かに今は爺かも知れんが、しかしこれでも人からは一目も二目も置かれてますよ。出版会社に勤めとったというのは社長としてや。院政出版、知りまへんか?あんたらみたいな歌道を志す人たちならおそらくご存知やろ。和歌の公募も1年に2回ほどさせてもろうてますよ。わしの会社や。いまは息子にまかせとる。ついでに云えば新歌人協会の会長の方も勤めさせてもろうてます」と一気呵成にまくしたてる。穏健の仮面の下に隠していた経営者ならではの覇気と、敢て云えば毒気までさらしてしまった観がある。とどめに「ま、若さ‘だけ’はおまへんがな。ハハハ…」と高笑いをしてみせた。それを聞きながらかたやの梅子がさきほどの恵美に負けぬくらい顔を紅潮させている。それにはわけがあった。

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