-終わりからの始まり-
1000年前、その時は突然訪れた。
人類は新しい発見をすることができなくなった。
完全に文明の進歩が無くなってしまったのだ。
人々はその時期のことを『終止符』と呼ぶ。
人類は思い悩んだ。
もう自分達はこれ以上進歩することができないのか。
もう新しい何かを見つけることはできないのか。
もうこれですべて終わりなのか・・・。
12月31日
世界首脳会議で、ある人物が突然言い出した。
「教育方針を変えてみてはどうだろうか?」
会場全体がざわめく。
その人物はさらに発言を続けた。
「そもそも、誰もが同じ知識を身につける必要はあるのだろうか?誰もが思ったことがあるはずだ。こんな知識、将来役に立つのか?と。」
会場の中で「確かに・・・」という声が聞こえ始めた。
「人間の寿命は短いんだ。そんな知識を身につける暇があるなら、もっと各々に合った知識だけを習得していった方がいいのではないか?」
この発言を聞いて、別の人物が反論した。
「そういうわけにはいかないだろう。数学、生物学、物理学など、様々な分野の知識を組み合わせることによって新しい発見ができるんだ。そんな一芸特化で進歩するとは到底思えない。」
「分からないことは分かる人に聞けばいい」
この言葉で世界は変わった。
すなわち、『平均的学力向上教育』から『一芸特化型教育』への切り替わりである。
人々はこの日を『転生日』と呼んだ。
そして次の日から『真歴』が始まった。
しかし、誰もが予想できなかった形に世界が変わっていくこととなった。