疑惑と議案と断罪
海斗が向かったのは、2年B組の教室
クラスは、学校から配布されたメールアドレスに新学期のお知らせとともに新クラスの表示される。
教室に入ると新クラスでの親交を深めようと、和気あいあいとした雰囲気だった。
教室の黒板には、新しいクラスでの席順表の用紙が張られていた。
海斗は、席順表を確認し自分の席に向かった。
海斗の席は、窓際の後ろから二番目の席だった。
(ラノベの主人公感がすごいなぁ)
海斗は、思わずうれしそうな顔をした。
「まぁ窓際の席は、気楽でいいよねー」
海斗の後ろの席には、金髪の整った容姿の男が座っていた。
その顔を見た瞬間、海斗は持っていたカバンからクリアファイルを居合のように抜いた。
そして、クリアファイルの平面部分で男の頬を叩いた。小気味よい音を立てて。
「へぶばっぁぁぁぁ!」
「お前、何吹き込みやがった」
海斗は、ジト目をしながら男に問い詰めた。
男は頬をさすり、涙目になりながら答えた。
「春休みにお姉さん系が好きと言っていたからね」
「言ったけどお前の姉さんやることがエグイわ!」
男の名前は、黒月 奈緒奏の弟である。
「っで、告白でもされたかな?」
「そんなわけないだろ」
奈緒が言葉を言い終わると同時に海斗は否定した。
「ん?それはおかしいな」
「なにが?」
「いや、こっちの話」
奈緒は顎に手を当てながら、思考を巡らせている。
海斗は、奈緒の様子をみながら席に着くと隣の席からトンっと肩をつつかれた。
「何してたのよ」
振り返ると、美夜が席にカバンをおろしていた。
「ちょっと色々とな」
「それってこれ?」
美夜は怪訝な顔をしながらカバンからスマホを取り出して、ある画像が出てきた。
それは、音楽室で出来事を象徴する互いに体を寄せ合っている姿だった。
「あっ・・・それは・・・」
海斗は思わず目線をそらし、奈緒は画像を凝視した。
「これは、いったい、何してた、の?」
美夜はずいっと顔を寄せながら、海斗に鬼神のように詰め寄った。
「多分、告白されてOK出したってことデショ」
「ええっ!」
奈緒の言葉に美夜は、思わず声を上げた。
その声に周りの生徒は一斉にこっちを見た。
近くにいた女子生徒が美夜に心配そうに声をかけた。
「萩原さん大丈夫?何かあった?」
「ううん、全然、なんとも、ないよ」
美夜は、焦ったように早口で言った。
「そう、よかった」
「心配かけてごめんなさいね」
女子生徒に手を振って、美夜は笑顔で見送った後再びグリっとこっちを見た。
「でっ!どうゆうこと!?」
さっきより少し小さめの声で海斗に詰め寄った。
「いや別に朝ちょっと奏先輩に呼び出されただけだよ」
「それって告白ってことでしょ!」
海斗の言葉に美夜は、さらなる詰め寄りをした。
「実際、どうだったんだい」
奈緒も続けて質問をすると、海斗はため息を吐いて言った。
「放課後に用事を頼まれただけだよ」
海斗の意外な回答に二人はきょとんとした様子だった。
「「それだけ?」」
「それだけ」
海斗は終始冷静な回答をしたが、二人は少し離れた所で画像を見ながら話した。
「本当だと思う?」
「多分、姉さんがドジったんだと思うよ」
美夜の問いに奈緒は呆れながら答えた。
「じゃあ、この画像はいったい何?」
美夜が続けて質問すると奈緒が続けて答えた。
「多分、勇気だして少しやったけど寸前で失敗したってところデショ」
奈緒の回答に美夜はホッとした様子を見せた。
「安心した?」
様子を察した奈緒が声をかけると、美夜は奈緒の脇腹に静かに肘を差し込んだ。
「ぐほっっっ!」
「そんなないでしょ!」
二人は、話し合いが終わり海斗のもとに戻った。
「っで、俺の疑いは晴れたのか?」
「一応とりあえずは?かな?」
海斗の問いに奈緒は苦笑いしながら答えた。




