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castle of Brave  作者: 転々
11/24

11.現実

 焔蜥蜴が落ち着いてから話を再開した。

 彼らは俺の城が転移城ではないと言う事はうすうす感づいていたようで、その事を伝えていいのかどうか迷っていたらしい。

 まあ、フランがばらしてしまったのでその辺りを詳しく教えてもらった。


 まず転移城とは、俺の城の様にどこからともなくやって来た城で、強力な兵士や武具をそろえていたり再現不可能な技術がてんこ盛りの城で、実は世界各地にかなりの数があるらしい。

 ただ、かなり古い城が多く稼働している城は殆ど無いらしい。

 彼らが知っている城は大陸中央と北にある城はかなり有名で、北方の城は代替わりしているにもかかわらず稼働している特殊な城だそうだ。

 そして大陸中央の城は既に周辺国を併呑し、帝国として大陸中央で勢力を拡大しているとの事だ。

 ただ、彼らは大陸南部で活動している為詳細まではしらないそうだ。


 稼働している城以外の城は廃墟と化している所が多いそうだが、未発見の城であればそこは宝の山らしい。

 新しめの所であれば城壁などを再利用して街を作ることが出来るし、それが出来なくても特殊な魔法金属性の武具や魔道具のが大量に眠っており、冒険者が発見した場合即座にギルドに報告しギルドから国へ至急連絡が入るそうだ。

 城壁などが使えるレベルの城であれば発見した冒険者には、一生遊んでも使い切れない程の金が与えられると同時にギルド幹部へと半強制的にされてしまう。

 そして、使用できる武具などが大量に見つかった場合は――さらに上乗せされたり爵位が与えられたりするそうだ。


 ただ、これが国境付近やどの国にも当てはまらない場所で発見された場合、かなりの確率で戦端が開かれるとの事だ。

 転移城の城壁が使用できるレベルであれば広大な城塞都市一つが手に入るし、軍事レベルをおかしくできるレベルの魔法金属などが大量に出土した場合、隣国との国力差が大きくなってしまう恐れがあるためだ。

 まあ、元々戦争をするゲームの城なのだからそれを手にした方が有利になると言う事はわかるのだけど、リアルで戦争をするのはどうかと思ってしまうのは俺が転移者だからだろう。


 転移城の事はこの程度しか知識が無いらしい――本当はもっと知ってそうだけど、一般的にはこの程度の事しか知られていないって事だろうな。

 それと、この世界での一般常識などをちょこちょこ教えてもらって、今回の話し合いは終了となった。

 本当はまだまだ聞きたいこともたくさんあったけど、まだ俺に対する対応の仕方をどうして良いか良くわからなくて緊張しているみたいなので、一旦ここで切り上げたのだ。


「なるほどなるほど。長々と話させちゃって悪いね。あ、良かったらこれ食べて」


 聞いた情報に対しては少ないお礼の気もするが、コンソールを操作してデザート系の物や酒とつまみ系の物を皆の前に出した。

 デザート系は、イチゴパフェや様々なケーキ類、酒はビールから蒸留酒まで様々の物を出しそれに合いそうなつまみも出しておく。

 この辺は課金アイテムの外れ枠や、ポイント交換で交換できるアイテムだったりするので特に貴重と言う訳でもない。

 

「うっわ! 美味しそうにニャ! これもーらい!」


 相変わらず物怖じしないフランが目の前のパフェを一口食べ「美味しいのおニャ! 」と言いながら目を輝かせていた為、他の女性陣も恐る恐るではあるが食べ始めた。

 皆そろって美味しいと言ってくれているので出したかいがあったね。

 男性陣は一言俺にお礼を言ったあと、酒とつまみを楽しんだ。


 このアイテムはゲームの時でもかなり人気があり、ゲーム内なら食べても太らない! と女性陣が良く集まってお茶会の様な事をしていたことを思い出した。

 まあ、男性陣の場合はお茶会ではなく完全に飲み会になっていたんだけどね。

 その後、俺が出したものは全て彼らの胃の中におさまり今回の交流会はお開きにして、皆をメイド達に任せ退出させた。


 帰り際にファビオが立ち止まって俺に向き直った。


「ランスロット様、最後に一つお聞きしてもよろしいでしょうか?」


「なんだい? 答えられる事なら答えてあげるよ」 


 相変わらず緊張している感じで話しかけてくるので、俺はさっきまでと同じように少しくだけた感じで対応する。


「ランスロット様はその……この城をどうされるおつもりですか?」


「え? どうって――まあそうだな、特にこちらに害意が無いのであればどうこうするつもりはないよ。友好的な相手であれば取引とかもしてはいいとは思っているけど、敵対するようなら――って感じかな?」


「――そうですか。ありがとうございました」


 俺の答えに表情を少し緩ませながらお礼を言って退出していった。

 一瞬何を聞きたいのかわからなくて驚いてしまったが、彼の立場から察するにこの城――と言うか俺に対してどう対応するのが良いか報告する為だろう。

 一応彼が焔蜥蜴のリーダであるわけだし、ギルドにも詳細な報告を求められるだろうからね。


 それはさておき、今回の話し合いで俺が考えなければいけない事がかなり出来てしまった。

 まずは、これは夢やサーバーエラーではなく城事転移してしまったと言う事が確定した。

 そうなると、元々NPCだった人々が人間の様な対応をしているのはAIなどではなく、ガチで人間として存在していると言う事になる。

 まあバジルとかは良いんだけど、俺が問題にしているのは兵士達の事だ。

 ゲームであれば資源を使用して時間短縮などをすれば瞬時に増員が出来るシステムだったわけだが、リアルの人と言う事であれば恐らくそれは難しくなるだろう。

 それに、一般的な兵種ではなくグリフォンやドラゴンを使う兵種などの場合、今後一切補充が不可能になる可能性が在る。

 

「でもまあ、その辺はこの世界ならよっぽど落とされることは無いとは思うんだけど――問題は人死にだよな。それに、あれだけの兵士数ってこの城の中にどうあがいても入りきらない気がするんだけど――その辺の確認も必要だな」


 兵士が普通の人間と言う事であれば、適当な指示を出して死んでしまったりするのは――流石に俺の精神的によろしくない。

 もし他の国が攻めてきてッてことであれば全員討ち死にするくらいなら戦闘をするけど、それでも出来る限りは死人を出したくはない。

 今周辺索敵させている兵士達に今の所死亡者は出ておらず人員が減っていないのは()()としては確認できるが、実は負傷していますとかだった場合どうしていけばいいのか考えなければならないな。

 それに、兵員が減るのが死亡なのか負傷なのかが今のところ不明だ。

 兵士の能力は城の能力解放で強化されるほか、英雄アバターとしての俺の装備が充実して行っても強化される。


「そう考えると、俺の装備を強化する場合兵士達の装備も一新されると言う事なのか、それともただ単にバフとして強化されているだけなのか……その辺りも要確認だな」


 そんなことを考えながらコンソールをいろいろ操作していると、詳しく見ていなかったせいかゲーム時代と色々違う事に始めて気が付いた。

 まずは英雄の装備なのだが――現在の俺の装備がそのまま反映されている様だ。

 装備と言っても今現在俺が着ているわけではなく、ステータス画面上で装備している物が反映され、見た目だけが変えられるようになったみたいだ。

 兵士の生産も一応普通に可能で、時間短縮も普通に出来てしまったのでどういうシステムなのかよくわからないが、兵員補充するのはどうにかなりそうだ。

 ただまあ――詳しくわかるまでは極力被害を出さないようにはするけどね。


「とりあえず兵士についてはバジル等に確認してみるとして、あとは……うん、色々変わってるな」


 生産系の物は前に確認した通り建築できるものが増えているので詳細は後で確認するとして、研究項目に兵士用の装備研究などが追加されていた。

 詳細を確認するためにタップすると――何とも言えない物が多数追加されていた。


「索敵強化用双眼鏡とか進軍妨害用馬防柵はまだわかるんだが……この村人の服とか商人服っていったい何をに使うのやら」

 

 他にも使途不明な研究項目がずらずらと並んでいるが、どれも今の所使い道はあまりなさそうだ。

 しかしなぜこれが兵士用装備研究になるのか……この分だと他の物も同じような変なのだろうから、また時間がある時確認しておこう。


 その他の変わった項目を色々確認していると、索敵に回していた兵士達から次々と魔物討伐結果通知を処理し、次の指示を出したりいろいろやっていると兵士たちが全軍帰還してきた。

 コンソールで時間を確認すると既に夜の十時近くになっており、流石に長居しすぎたなと思い部屋をでた。


「――っうぉ!?」


 扉を開けた先にはとてもいい笑顔(目は笑っておらず、額に青筋が出ている)のバジルと兵士たちが立っており、その後三十分ほど永遠と説教されてしまった。

 なんでも、焔蜥蜴が出てきた後俺が出てこなかったが転移した形跡もなかったので何かしらしていると思いまった居たのだが、いつまでたっても出てこないので流石に何かあったらまずいと思って兵士達を呼び寄せていたらしい。

 後数分遅ければ兵士たちが扉をぶち破り突入させる所だったとか……あはははは――洒落にならんぞそれは。

 そして、説教が終わった後俺はバジルに指示されたメイド達によって風呂に連行された。

 風呂は城の()()()元々配置されている物ではあるが、ゲーム中にわざわざ風呂に入る事は無かったので来たのは二度目だな。

 まあ、一回目はゲームを始めた頃に城の設備を全部確認するために行っただけなんだけど、そのころと今ではかなり様相が変わっていた。

 元々はアパートにあるような手狭な脱衣所で、材質は見た目それなりにいいものっぽかったがゲームなのであまり気にしていなかったが、現在は無駄に豪奢に作り替えられていた。

 おそらく城のレベルを上げるとそれに付随する施設のランクが上がるので、風呂も同じように増改築されて行ったのだろう。


 見た感じ床も壁も全て大理石で出来ているようで、広さもそれこそ普通の家のリビング程ありそうだ。

 洗面所も巨大な鏡が据えられ、蛇口などもやそのたの装飾も金で作られているように見える。

 

「はぁ~これはまた――おっと」


 さっきまで焔蜥蜴達と普通に話していたせいでいつもの口調が出てしまい、急いで口を塞いで周りを見渡すが、メイド達は特に何も聞いていませんでしたと言った感じで無視してくれている。


「(よかったー。またバジルにクドクドお説教されるところだったよ)ん、んん。お前達さがってよいぞ」


 そろそろ服を脱いで中に入りたかったのでメイド達を下がらさせよとしたのだが、俺を連行してきたメイドの一人が一歩前に出てきてとんでも発言をしてきた。


「いえ、お手伝いさせて頂きます。あなた達――」


「「はい」」


「――え?」


「失礼いたします」


 一瞬何が起こっているのか分からず反応が遅れてしまい、指示したメイドが俺の目の前に立ち他のメイド達が俺の左右に来て服を脱がせ始めた。


「 ちょ、ちょっと! まって――そこは自分でって、いやあああああああああぁぁぁぁ……」


 相手が若い女性と言う事もあってあまり無理に抵抗が出来ず、あれよあれよといううちに服を全部脱がされてしまった。

 メイド達は俺の様子を特に気にした感じはなく、そのまま脱がせた服を畳み入り口で立っていたメイドに手渡していた。

 その間俺は全裸で――大事な所だけ隠し――放置プレイされていたのでそのまま浴室へ向かおうとしたのだが、浴室の前にもメイドが既に立っており「もうしばらくお待ちください」と言って通してくれなかった。


 なぜこんな羞恥プレイをされなければと考えていると、背後から衣擦れの音が聞こえてくるので振り返ると――俺はどうして良いか分からなくなった。

 先程俺の服を脱がせたメイド五人が服を脱いでいく。

 戸惑いと好奇心――そして正常な男性としての心が無意識にメイド達の肌色部分に目が行ってしまい、メイド達もこちらの視線に気が付いたが特に気にする様子も無くてきぱきと服を脱いで行き――一糸まとわぬ姿になっていた。


「(え? もしかして混浴ですか? と言うよりも、これってもしかして全身キレイキレイにされてしまうと言うお約束のパターン? しかも――こんな娘達と?)」


 そんなことを考えていると、メイドは俺の手取った。


「お待たせいたしました。陛下、参りましょう」


「(ええい! どうにでもなれ!)う、うむ」


 少し声が裏返りつつ、ぎこちなく偉そうな態度で彼女たちに連れられ中に入って行った。

 

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