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5話 チョコレートは甘くておいしいから友達と一緒に食べると息もつかせぬ間に幸せ成分がしみわたっていくからいいよね。チョコの幸せに気付かないぐらい友達と幸せに遊べるのが何よりの心の栄養だって今思いついた

「人選ミスだ」

僕、ギチムさん、女の子の3人は、女の子の親がさらわれている場所を探しに、湖に向かっていた。

「俺は客観の生き物。子供のような多感な生き物を相手に取るのは、情感に溢れていなければならない」

「ギチム?だったか。いい飴だ。美味いぞ」

女の子は口をモゴモゴさせた。

「仲間の物だ」

ギチムはそっけなさそうに言う。

「あと、家帰ったらちゃんと歯を磨くんだぞ」

「うぃ!」

そんなこんなで進んでいる。

「そういえば、」

ただ歩くのは暇なので僕は世間話を振った。

「チョコレート・フレンドって何?」

「我が子達だ」

女の子は胸を張った。

「ほええ、どんな子?」

「それは内緒だ!」

「内緒!?」

「何故なら、チョコレート・フレンドは謎謎謎の、謎特盛、存在すら知られてはいけない発明だからな!」

「存在すら知られてはいけない発明、チョコレート・フレンド!」

「……今、俺がそれを知ってしまったんだが」

「「…………!?」」

「2人して驚くなよ」

ギチムさんは白い目で僕らを見た。

とわいわいしてると、ギチムさんのスマホが震えた。

「……もしもし?あぁ、リメンさん?外出している。……あぁ、それなら丁度いい。書類は後で作ってくれ。じゃあ」

「どったのギチムさん?」

「ん?オーナメントが出てるって。丁度行く湖の辺りに」

「あいしー」

「なななっ、なんだそれは!?」

女の子はギチムのさんの袖を掴んだ。

「オーナメント!我が母の近くに!?」

「そうだな」

「そんなぁ!」

女の子はギチムさんの袖を引っ張る。

「……そう言われてもな、」

ギチムさんは頭をポリポリかいた。

「俺は傍観者にすぎない。そういう主観的なことは、」

ギチムさんは僕の肩をポンと叩いた。

「こいつに頼む」

「よく分かんないけど任された!タイタニックに乗った気分でいてよ!」

「沈むじゃねぇか」

「……頼む医者の卵」

女の子は僕を正面から見つめた。

「我が母をオーナメントから、守ってくれ!」

「それくらいなら!」

「ありがとう!」

「それくらい親介護用さ!」

「……まぁしばらくは大丈夫だろうしな」

「なんで!?」

女の子がギチムさんの言葉に食いつく。

「だって、君のお母さんのとこには誘拐は……じゃなくて、なんか、護衛とかいそうじゃないか」

「「そうなの!?」」

「なんでレーギも驚いてるんだ……」

「え、あっそっか!誘拐は、じゃなくてなるほど!」

「ゆうかいは?」

女の子は怪訝な表情だ。

「み、南の島の大王だよ」

「そうなのか!詳しいな医学部!」

「あはは、ど、どうも」

「医学部勉強凄いって聞いた!凄いぞ卵!」

「ど、どもー」

うーむ、嘘は慣れない法隆寺。

と、やっていると

『オーナメント対策課です!』

元気な声が辺りのスピーカーからした。



スウェーはチョコレート・フレンドの製作陣の1人、アミコの実の両親を捕縛して安心していた。

『オーナメントが民地(ここでは一般に人の住むところ)に侵入した可能性が高いです!』

安心できるか怪しくなった。

「クトリ、イーンズ、気をつけるぞ」

そう声をかけるスウェーの元に電話がかかる。

『おい、アミコちゃんのご両親は無事だろうな』

「俺もそうしたいよ!」

思わずスウェーは叫んで電話を切った。

スウェー達だって呪文の詠唱はできる。だがそれでオーナメントに挑むのは、早弁する学生が世界大食い選手権に出るようなものだ。

「スウェーさん、ニュースによると、ここら辺に来るそうです」

「いやいやいやいや、そうは言ってもな」

スウェーは頭上を見上げた。錆びた鉄が空を遮る。

「ちょっと前まで工場やってたとこだ。人間の対策が自然の気まぐれに負けるわけが……」

バキバキバキバキ!

「ほぎゃぁぁぁぁぁぁ!」

廃工場の屋根がモナカみたいに破壊される。

屋根から見えるのは、巨大な、猫を思わせる手だ。

「待った待った待った待った」

スウェーはわけも分からず喋る。

「うわあぁぁぁん、やっぱ悪いことしちゃ駄目だったコメットパンチぃぃ」

誘拐仲間がわんわん泣いている。正直スウェーもちょっと泣きたい。

屋根の裂け目から、顔が覗く。

猫だ。毛色は焦げ茶とか白とかのやつ。実はよく見ると可愛いかもしれない。よく見る勇気は無い。

猫の毛むくじゃらの手が、ひょいとこちらにのびる。おまけで廃工場の屋根がガシャガシャ割れる。

「ひぃぃぃぃ!」

スウェーがそう叫んでいると、

『朗唱 ツェーンにツヴァイ、偶数』

どこからか、聞き覚えのある子供の声が聞こえた。

「この声……あの代理人の……」

『ピザへ何はと獣脂バチ。あわせて読むと言いにくい。膝の兄ちゃん爪要る姉ちゃん。親の顔より十三里』

ふと見ると、猫のオーナメントが動きを止めていた。

「な、なんだか分からんが逃げるぞ」

「で、でも、このお母さんはどうするじしん?」

『ピーススリープスパゲッティ。鳩のずぶ濡れ構想へ。パソコン世界の電磁な原始。パソコン世界の電磁なその次』

「そんなの見捨てろ!」

「まじすか。ひでぇやスウェーさん……」

「あのな、誘拐犯はな、酷いことするやつらだぞ?」

『おどける通る。お馬がおどける。夫の初番奥さんは要る』

少年の言葉を右から左に流しながら、スウェーは逃げる準備を整えた。

『祝辞 ツェーンにツヴァイ、偶数。これにて終い』

その言葉が終わると、一時停止が解除されたように猫のオーナメントが動き出す。

しかし、スウェーが荷物をまとめる方が早い。

「準備よしだ!」

「あーまだ準備がぁ」

「お前はハースストーンのフォロワーかっ!」

とやっていると猫ぱんちがスウェーの子分にとんでいく。

「クトリー!」

バチン

まるでクトリがバリアをまとっているかのようにぱんちが防がれ、凄い静電気をもっていたかのように猫のオーナメントの手が弾かれる。

「なんだか知らないが今の俺らは無敵と見える」

スウェーは咄嗟にテーザー銃(ざっくりいうと、スタンガンのバチってするところを銃で飛ばせるやつ)を構えた。

「食らえ!」

テーザー銃の先が猫のオーナメントの方に飛ぶと、

「ぎゃん!」

スウェーの意識が飛んだ。



「……何の朗唱をしたんだ、レーギ?」

「攻撃を跳ね返す効果を、やたらめったら付与しといた……予定」


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