おまけ 地球追放モノ
レーギの前日単の一部です
「鈴義さん、昨日は町案内ありがとうございました!」
「いえいえ、僕も楽しかったですよ」
昨日一緒に町をぶらぶらしてた寺実さんが、家までお礼を言いにきた。
「親切のお礼に、こんなものをあげちゃいます」
そういって見せたのは何かのお守り。
「わぁ、ありがとうございます。あらかたやあらかたや。なんのお守りですか?」
「ピンチから守ってくれるお守りです。鈴義さんのたみに作った、私特製のものですよっ」
「やったぁ」
僕が喜んでいると、頭に水が当たる感じがした。
「おや、あみですね」
寺実さんは片手を天秤みたいに広げた。
「げっ、傘持ってないや。水かさ盛られる前に帰らなきゃ……ありがとうございました、寺実さん!」
「どういたしまして」
僕らは手を振りあった。
「じゃあまた、何かの縁がよりどりみどりになったら会いましょう!」
「ええ!またいつか」
そうやって僕らは分かれた。
「再会、早かったですねー」
「えぇっと、ですねー」
家に帰る途中で雨でスリップしたトラックがこっちに突っ込んできたと思ったら、気づいたらここにいた。
まるで世界を作るゲームの初期状態のようなうにょうにょした世界で、寺実さんは得意気に微笑んだ。
「凄いでしょ?危険を察知するとここに移動して避けてくれるお守りですよ。」
僕はそう言われてお守りを見た。青くぽわぽわ光っている。
「ほへぇ、凄いですね。もしかして、寺実さんって、女神とかですか!」
「大正解!」
寺実さんは指をならした。
「隠しててごみんなさい。でも、どこで気づきました?みったにバレないのに」
「いやぁ、喋り方が女神っぽいなぁって。それで、ここからどうやって出るんですか?」
「そうですね、地球に鈴義さんが存在しないと不自然なので、とりあえず地球に戻しますね」
ビュンと地球に戻ると、
「あ……わわわわ」
寺実さんがめっちゃ青ざめてた。僕の頭の上を見て。
「ほぇ?どうしました?」
「あわあわあわあわあわごめんなさい!お守りの配分間違えましたぁ!」
「?」
「結論から言うと、今の鈴義さんは地球から拒絶されています」
「拒絶ってことはつまり、地球にいるとまずいんですか?」
「はい!まるでゲームばっかやってる子供を叱るお母さんのごとく、地球から追い出されてしまいます!」
「あちゃあ、それは大変ですね」
「ごみんなさーい!本当に、ごみんなさい!」
「うぅぅむ、溜まってるゲームが。まぁ、でも起きちゃったことですし仕方無いですよ」
「代わりにどこか私の管轄する世界に飛ばします。えええと、空き室はぁぁぁぁぁ」
こうして僕は、異世界へと旅立ったのだった。