第3話 ゲリラ、スリラ、連れてってマニラ、口当たりいいのはバニラ。どれ、あれ、それ、そう!だからCIAに言えよ、さっさと出てけってな!
「どーも皆さん!」
笑われギルドコンツェルトのリーダー、小学生以下の呪文詠唱能力を持つとも言われる自称異世界人、レーギは、元気良く挨拶した。
「…………死ににきたのか?」
ウガは思わず粗雑な暴言を吐いた。
バディストロートなんていうのは、子供ならともかく、オーナメント狩りをやっていくならいつでも使いこなせないと話にならないレベルだ。それを動揺で暴発させてしまい、彼は今気が立っている。
ウガは、振り返ると目に写る、自分の呪文のせいで気絶した仲間達を見ながら、地面を睨み付ける。
「西に来たんだよ」
レーギは自信ありげにニッと笑った。
「その稲妻の束を負いってね」
「お前らの助けなんぞいらん」
ウガは冷たく言い放った。
「それはこっちの台詞だっての」
イトナキはからかうように笑みを見せた。
「あたしら2人で十分だ」
イトナキは指を2本伸ばした。
「あたしがここいらをブラブラして、レーギがあいつを倒す。ほら2人だ」
「馬鹿げたことを……」
ケンドは見下した目で貧弱ギルドの2人を見るが、彼らの自信に満ちた顔にいやに心臓が跳ねる。
見下せないと、落ち着かないのか。
ケンドは冷や汗を退かせるように、深呼吸した。
「大丈夫だよ」
レーギは両腕を前に伸ばしている、すると手の先に本が生成され、彼の手に収まる。
「まー見てなって」
イトナキは両手を後ろ頭にやってリラックスの姿勢だ。
「もう、勝ったから」
レーギは目を浅く閉じて、息を吸っている。
『朗唱 早起きは意志の上に医師を作らず』
「…………なんだぁ?」
ウガが呆気に取られていると、地面が揺れた気がした。
『赤い青いの寺の鐘、職業無職の有色人種。照明嫌って梅干し梅干し、青いの梅干しトリュフに梅干し』
「リリババラバラリイイイイ!!」
緑髪のオーナメントは襲いかからんばかりに咆哮するが、
「ビレレレ!?」
まるで金縛りに合ったかのように動きを止めた。
「あー無理無理。聞いた限りのあいつのスペックじゃあ、動くのは無理だね」
イトナキは棒つきのキャンディーをなめながら観戦している。
『運命埋めるたこやきからがら、がらがら車が意外を描いた。すとんと落ちたトーチとチート、ビビンババビビンバビビビビビビバン』
ウガは気づいた。大地が揺れていることに。そしてゆっくりとしかし異常な程、周囲の岩や石ころが大きくなっていく。
「なんだよこれ……なんだよ」
ウガは途方にくれるしかなかった。
「あれ?朗唱」
イトナキは地元の案内でもするように気楽に答えた。
「朗唱?」
「レーギは……というかあたしらは呪文の詠唱はロクにできないが、呪文を唱えるのは、何も詠唱だけじゃない」
「それが、朗唱ということか?」
「ん」
イトナキは頷いた。
「あのへんちくりんな言葉が、詠唱の代わりだと?」
『騎兵の平気は武将の負傷。空論のチカラおでんの神殿』
「とてもそうは見えねぇ。なんだよおでんの神殿って」
「まぁ確かに見てくれは変だ。だがな、考えてみろよ単純な話?」
イトナキが人差し指を伸ばした。
「ファイム、ストラファイム、ストラモン・ファイム、えっと、ストラモン・ファウロサイム。詠唱は色々なもん前に後ろに付けてどんどん強くなってくだろ?」
「いきなり何を……まさか、」
「あの朗唱糞長いだろ?強いぞ」
「そんな無茶苦茶な」
『結び』
レーギがそう言うと、今まで肥大化していった岩や石ころが突如槍のように伸びて尖る。
「ララララビピピビピビビイィィィイ!?」
それらは緑髪のオーナメントに襲いかかり、今まで呪文を意に介さなかった肌に思いきり食い込む。
「なっ……なんて威力だ、あれが、朗唱……」
「いや、あれはなんつーか……その……レストランのバイトの……まかない料理みたいな?」
「いやどういうことだよ」
「しょーがーねーだろロロはそうとしか言わねーんだからよぉ」
『意識の2色が好感触で、敷居の住居に傍観者住む。アリクイクリア、アントシアニン。紫式部のキャベツワイフラブ』
「と、ともかく、要は前座にすぎないってことか。じゃあこれから何が……」
「……ん」
イトナキは人差し指を上に向けた。
ウガが空を見上げると、
隕石めっちゃ降ってきた。
「うわああああああああ!?」
「でかいなー」
イトナキはそう言いながら青い球をまとった。
「なんだそれは?」
「これか?呪文借りてんだよ。お前も防御しないとまずいぞ?」
「ぼ、防御って、俺らは敵じゃないぞ?」
「レーギはまだ朗唱制御できてないからな。降ってくるぞ。こっちにも」
「いやいやいやいや!なんだそれ!というか、防御って言ったってこんなのどうやって!」
「あたしに聞くなよ。あんたの方がよっぽどまともな人間なんだろ?」
イトナキはぷいと空を見上げた。
『よそゆき地下ゆきよろずが白銀、上下峠がE山ヨ』
レーギの朗唱に、ウガは慌てふためくしかない。
「お、お前、まさか前にリーダーを馬鹿にしたの根に持って……」
「うちのモンペほどじゃねーけどなー」
隕石がゆっくりと降ってくる。
「そ、そんなのありか!?元はと言えば、お前がここにいろって……」
「ったくもー、……冗談だよ」
イトナキが手を振るうと、青い球は拡散してウガをも包み込んだ。
「こんだけあれば後ろで伸びてるやつらも大丈夫だろ」
『祝辞 雨垂れ余りまだら、未だ甘酢。これにて終い』
隕石が、その落下速度を早めた。
「ボララララララララララ!?」
雨のように、隕石が降り注ぐ。
「さぁて、天体観測だ」
「ベリャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
オーナメントの悲鳴が、森中にこだました。