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No.21「予言実行・運命遂行」

今回のお題は



(お題)

1「歪んだ視界」「明日も明後日も」

2「ひとでなし」「実行犯」

3「けんか腰」「化かし合い」



 僕はある日、不思議な力を授かった。



 それは、いずれ自分に起こるであろう未来の映像を透視することができるという特殊能力。



 その力を発見したのは学校の授業中だ。



 先生の話があまりにも退屈だったので、あくびでにじみ出た涙を、薄目にして瞳の表面にコーティングするようにして留まらせて、水中にいるような錯覚を覚える遊びを楽しんでいた。



 するとどうだろう? 



 うっかり授業中で居眠りしてしまい、そのことで叱られる自分の姿が歪んだ視界から映し出されたのだ。それは監視カメラの映像のように、誰かが天から見下ろしているような視点だった。



 なんだこりゃ? と、初めは何かの見間違いかと思っていたけど、その映像はあまりにも鮮明で、真実味があった。



 だから僕はそれを予知能力なのだと決めつけ、ためしにその未来の通りに居眠りしてみよう! と思ったのだけど……



 いざ、自分で眠ろうとすると、逆に眠れなかったりするもので、結局この日の授業は一切睡眠することなく、授業終了のチャイムを聞くことになった。



 おかしいな……と思い、僕は

明日も明後日も授業中は居眠りしてやろうと必死に睡魔を誘ったがやはりダメ。



 そのうち先生から「最近居眠りしなくなったな、良いことだ」と褒められる始末……



 一体僕が見たビジョンは何なのか? これでは単なるデタラメな幻を見ているだけじゃあないか? 



 その後も歪んだ視界からは、不良に絡まれるビジョン、水たまりに滑って転ぶビジョン等々……色々な未来を予見したが、ことごとくその通りにはならなかった。



 不良と廊下ですれ違う際は、さあ! 絡んで来い! とばかりに自信たっぷりな堂々とした振る舞いで歩いていたことが失敗だった……そのせいで不良は僕にちょっかいを出す気にならなかったようだ。



 水たまりもそう……滑ろうと思って思いっきり両足に神経を尖らせて歩いたせいで、逆に滑ることが出来ないで終わった。



 そんな生活を送りつつ、僕は今、社会人となって生活を送っている。


 この前も、友人に「キミはこのままだと、ひとでなしのままで人生を終わらせるよ」と罵られるビジョンを見たので、今度こそその未来の通りにしてやる! と思い、宗教の勧誘に来た旧友をボロ雑巾のように罵倒してみた。



 そしたらまた失敗だ……あまりにも強く言い過ぎたせいで泣かれてしまった……



 そして後日「君があの時、私に厳しく言ってくれたおかげで目が覚めたの……本当にありがとう。だってあのままあの宗教団体にいたら詐欺の実行犯として逮捕されていたもの……」と僕にお礼を言う始末……


 いつになったら自分は完璧に未来を予言することができるのだろうか……? 



 そんな毎日を続けながら、社会人として数年過ごし、僕にもとうとう婚約者ができた。



 さぁ、その時見たビジョンはこんなモノだ。



 彼女がけんか腰で「浮気しやがって! このサイテー野郎! もう婚約破棄だ! 慰謝料よこせ! 」と鬼の剣幕で詰め寄っている。



 という内容だ。



 今度こそ未来を実現させようと僕は、以前宗教勧誘に来た友人とこっそり付き合うことにした。



 そして頃合いを見計らって自分が浮気していることを告げようとした時、ここで予想だにしていなかった事実が発覚した。



 僕の婚約者は、いわゆる結婚詐欺師だったのだ……



 婚約を決めた相手を自分の仲間に誘惑させて浮気へと誘導し、慰謝料をふんだくるという手段で何度も稼いでいたらしい……



 なぜそれが分かったかというと、僕の婚約者は、とある宗教団体に所属していた詐欺グループの一員だったからだ。



 そう、その宗教団体こそ……僕の浮気相手である友人が以前心酔していた宗教団体で、婚約者とは顔見知り同士だったのだ。



 目論見がバレてしまった僕の婚約者は、風のように立ち去って消え……残ったのは予言の為に浮気した友人だった……



 ただ、自分が透視した未来を実現させようとして付き合ってみた彼女だったが、このまま別れるのもどうかな? と思い、そのまま交際を継続。しかしなかなかどうして、全てにおいて僕と相性が良く、結局そのまま結婚に至った。



 そして長い時が経ち、僕は80歳の老人となり、今も元気に妻と老後の生活を楽しんでいる。



 最近見えたビジョンは、自分が亡くなり、家族が悲しみに暮れているという未来だ。



 今まではその未来が実現するように動いていたが、今回ばかりはその予言を否定したかった。



 だから少しでも長生きしようと外を散歩して運動することに決めた。


 そして一人で歩道を歩いていると、突然目の前に大型のトラックが現れたのだ。



 ドライバーが運転中に発作を起こしたのか……はたまた居眠りしていたのか分からないが、暴走したトラックは狂いなく僕の方へと向かってくる。



 そこで僕はようやく気が付いた……



 そうか。僕は今まで未来を予知していたんじゃない……



 運命の女神と化かし合いをしていただけだったのだと。





THE END

 執筆時間【1時間15分】


 2作続けて「実行犯」というお題が出てきて困惑しましたが、なんとかカタチに出来ました(^^;)

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