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サクラのキセツ 陰  作者: 斎藤桜
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一等星に恋して

「『一等星に恋して』というゲームなんだ。コンセプトは理解不能だったんだけど、俺としてはすごくすんごく面白いゲームだった。あらすじと設定だけ見て、プレイしないでいる人の気が知れないくらい、売り出し方が下手なだけの典型的な埋もれた名作だった。

 国家体制の擬人化でね、それもヒロインを一人しか選べないんだ。最初の方は軍略ゲームみたいな感じで、そこから進めて行って一党制を確立させると一党制を擬人化させた少女が出てくるの。それで恋愛ゲームとしてのゲームが新たにスタートするんだけど、普通に政治の方も手が抜けなくてさ。全く違う二つのゲームを同時にプレイしているような感じだよ。ちなみにね、メインの一党制のルートに入る前に、最初に失敗して君主制になっちゃったんだ。上手くいかなくて国は滅んじゃったけど、あれはあれで面白かったな、ごっつい国王様と使えない鼻水垂らしの王子様がいてね、クソゲーっぽいんだけど笑えちゃって。

 一党制ルートは本当に感動の名作だったな。一党制ルートが終わってから違うルートも見たいと思ってプレイしたら、何ルートに入る道も持っていなかったらそうなる設定になっているのかな、また君主制ルートに入っちゃったんだ。ただ、君主制ルートの中にもいくつか分岐があって、最初のときとは違うエンディングが見られたんだよ。それもまた面白くて、一党制ルートが名作中の名作なのに、なんでここまでのギャグを挟めるんだっていう、センスの塊みたいな神ゲーだった。どんな需要もクリアしてくれるゲームだと思う。

 そういえば、君主制ルートの中にも種類があるっていうことは、メインの一党制ルートも複数あったんだろうな。やりたかったなぁ。見たかったなぁ。

 本当は海人にもプレイしてもらいたかったんだけど、この際だからネタバレしちゃうね。勉強好きのエリート高校生が主人公でね、主人公は高校生とは思えないほど知識に富んだ人なんだ。夏の大三角形の、なんだっけ、織姫と彦星じゃない一つ。デネブ? が大好きで、ある夜とんでもなく星が綺麗なところに行ったらしい。ちゃんと一等星が見えたらな。いつもこんな綺麗な星が見られるようになればな。感動して主人公が呟いたときに丁度、流れ星が一つ落ちたんだ。それが物語の始まり、乱世風の異世界に飛ばされて、主人公には国家体制が見えるようになるんだ。一等星ではないけど、一党制ちゃんは本当に可愛くて、それまで彼女とかには興味なかった主人公だけどどんどん惹かれてっちゃうんだよね。で、プレイ後に海人を誘って星を見に行きたくなっちゃった。

 俺がプレイした君主制ルートはギャグギャグ全開のギャグ作品だったんだけど、エンディングだけ変に手が込んでて、手塩にかけて育てた国は内部分裂で滅亡して、新制度が形成されるときに旧制度の中心人物として主人公は処刑された。本当に悲しいエンディングだったよぉ。

 クリアした一党制ルートはハッピーエンドだったとは思うんだけど、結局は国が滅んじゃって主人公も処刑されちゃったんだ。だからもっとちゃんとしたハッピーエンドもあったんだろうね。主人公と一党制ちゃんは結ばれて、最高に幸せだったはずなんだけど、戦争に負けたらそこで一気に財政が苦しくなって民衆からの支持がなくなって、革命。結局は革命の中で主人公は処刑されることになっちゃったんだけど、一党制ちゃんが倒れちゃった世界で生きてはいけない。求めていた大好きだった、輝く一等星の側での幸せを知ってしまったら、それ以外では生きていけない。エンディングでは清々しい気持ちで処刑されるんだ」

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