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サクラのキセツ 陰  作者: 斎藤桜
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奇術師

 一葉と雄大の作戦会議の最中、部屋の中に突然何かが降ってきた。見ればそれは深雪らしく、彼女はなんでもなさそうに話し出したが、そう冷静ではいられない驚かせ方であった。

「一葉がいるって情報が入ったから、たぶん、咲希を助けに来たんだろうなって思ってきたんだけど、まさかの雄大と一緒なんてね」

 いつからいたのかもさっぱりだし、きっと誰にも止められなかったのであろうことを思うと、死神の実力を思い知らされるようであった。一葉の居場所の情報だなんてものも、一体どこで手に入れたというのか、彼女が本気でなれば隠し事など楓雅のような天才であっても到底出来ないのだろうと思われた。

「まず心配しているだろうから伝えるね。送り届けてはいないから、今どうしているかは知らないけど、きっと咲希は無事だよ。あいつは姫とは思えないくらい、強いからね! だけどジュッキーは捕らわれたままだから、これからどうにか救出しようかなってところ。協力してくれないかな」

 戸惑っている時間は一葉の方が長く、会話をしている間にいきなり出現したら驚くに決まっているけれど、雄大はもう取り戻したようであった。

「なるほど咲希様はもういらっしゃらないのですか。それでも救出はなさいますか? 救出の作戦を今建てていたところなのですが。驚かせて混乱させることが重要かと考えましたので、我が軍か川上軍か、そのどちらかの出現を疑わせる演出をしようと考えていたのです」

 早く伝えることが大切だと考えたのだろう。惑わされてもすぐに判断力を取り戻せることは必要な能力だろうと、口を開いたままで一葉は思っていた。優秀だとは思ったことがなかった雄大の姿に、未だに一葉の戸惑いは残っているのかもしれない。

「にしし、了解だよ。一葉要素は少しもないから、完全に雄大が考えた作戦なんだろうね。有効で悪くないと思う。そんじゃ、そっちはそっちで動いてね。その話が聞けて、咲希はもう帰したってことを伝えられて、今日のところは深雪的にはこれで十分だもん。川上軍が疑われるような工作をしておくから、後押しを頼むからね」

 声は残っていたというのに、深雪の姿はもう消えてしまっていた。術者を思わせるほどの奇術に、残された二人は呆気に取られて声も出せなかった。二人が正気を取り戻す頃には、野乃花がが時間稼ぎをしている林太の城下町まで、既に深雪は戻ってしまっていた。

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