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サクラのキセツ 陰  作者: 斎藤桜
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「思ったよりもバレるのが早かったね。深雪の目から見ても良かったと思うんだけど、あの天才の目は騙せなかったか。これじゃあ、進行も難しいだろうし、方法を替えようか」

 天井から話を盗み聞き、少しでも情報を得ようとしていたのだが、楓雅に即座に気付かれてしまった為、やむなく深雪と野乃花は移動をした。距離を取ってから、小声で深雪は作戦会議を始めた。

「一人なら上手く出来たのに、とでも言いたいのですか。事実ですから構いませんが、方法を替えるとは、どうするおつもりなのです」

 にやりと笑う深雪は、考えがあるのは明らかだった。しかし彼女はそれを勿体ぶってのことなのか、野乃花に説明しようとしない。説明したくないのかと野乃花は疑ったものだが、深雪の考えはそのようなものではなかったのだ。

 説明する訳にはいかない、野乃花には教えられない機密情報が含まれているから、それは深雪の方法の中に含まれていることであるし、話せない理由でもある。その点では野乃花の疑いは正しいのだが、だけじゃなくて、深雪はもっとシンプルな想いも理由として抱えていた。「秘密の方が、なんかかっこいい!」ただ、それだけの想いである。

「そのまま天井を進んでいてくれて良いよ。最悪、バレても良いけど、出来るだけバレないよう努力はして貰いたいかな。言っとくけど、結局は囮だから、気付かれたとしても、作戦の失敗については考えないで大丈夫だよ」

 指示だけ出して、深雪の方がどうするかは、全く野乃花には教えないのだった。はっきりと結局は囮だと言われて、野乃花だって良い気はしないだろうし、それで喜ぶようなはずはない。

「囮だと言うのなら、こちらとしても都合が良いのです。責任もなくて、重要でもなくて、ノンにはお似合いなのです。作戦の内容さえ伝えて貰えないのなら、拷問に掛けられたとしても、間違って吐く心配だってありゃしませんし」

 悲しげな雰囲気さえもなく、寂しさを思わせる様子もなく、野乃花の言葉の中に浮かぶのはただ一つ、慣れというものだけのようだった。

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