表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サクラのキセツ 陰  作者: 斎藤桜
22/85

脱獄宣言

 いくらなんでも、深雪のことを馬鹿にし過ぎだっつの。

 死神と呼ばれた忍びの実績は、偽物じゃないんだからね。

 最初はどうしようもなかったよ。真っ暗だし、場所も知れないし、手足も動かないし、深雪なりに捕らえられたことにショックを受けていたし。


 でもあの豚、本当に馬鹿なんだもん。

 まあ、楓雅ともあろう男がこの程度のミスをするというのは、意外だし反対に怪しいくらいんだんだけどさ。

 信じ切れないチャンスではあるけれど、これを逃したらもう訪れないかもしれない。

 そんなわけで、深雪は脱獄しようと思っているわけ。


 きっと豚の野朗は、深雪をさっさと追い返して、今度はあそこに咲希を呼ぶつもりなんだろう。

 咲希のことは殺さないだろうけれど、ジュッキーはどうだろう。

 豚だったら、ジュッキーのことを殺してしまうかもしれない。楓雅がジュッキーを気に入っているようだったけど、豚に命令をされたら、きっと彼は逆らえない。逆らおうとも思わない。

 もしかしたら、咲希を悲しませる道具として、殺されてしまうかもしれない。

 そんな理由で殺されることなど、本来ならば考えられないし、絶対に許されてはいけない。だけど、豚なら迷わずにやるだろう。

 咲希が悲しむ前に、ジュッキーが傷付く前に、早く救い出さなければ。

 二人が攫われたこと。それは、忍びであるのに守れなかった、深雪に落ち度があるだろう。

 任務を果たすことも出来ず、姫を守ることも出来ず……。

 でも深雪はその程度の忍びではない! 豚なんかに負けて堪るものか。

 牢屋に放り込むだけで、手錠すら付けられていないんだ。

 手足を鎖で繋いでいたものだから、豚の前に連れ出すのに、外さざるを得なかった。最初から足だけを鎖にして、手錠を付けておけば良かったものを。

 それだったら、外すこともなかったから、付け忘れることもなかっただろうにね。

 なんの道具も持っていなくたって、手が自由に使えるのなら脱獄くらい余裕だっての。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ