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はじめのよる4

 楽譜は全部燃やされた。

 何一つ、残らなかった。

 俺のしてきたことは全部無駄だと言われた。

 灰になった楽譜は風が吹けばぱらぱらと散っていった。


 全部、無駄だった。


 思い出せない。何故俺はこんなに曲を集めていたのか。誰のために。なんのために。

 わからないのに、こんなに惨めな思いになるなんてやっぱり音楽は嫌いだ。


 季節は夏。午前十一時をまわった。明日から夏休みだが俺、向坂美波は浮かれることができない。なぜならバイオリンの稽古の時間が増えるからだ。

 うんざりしながら俺は自室のベッドで横になっていた。今日のレッスンを終え帰宅した後である。

 俺のすぐそばにはバイオリンケースが放置されている。

 動くのが面倒でそのまま、まどろんでいると頭上から何故か楽譜が一枚落ちてきた。

 不審に思い上半身を起こして周りを見渡すが楽譜を保管している棚はベッド近くにないし、今部屋には俺しかいない。

 楽譜には手書きで音符が描かれている。五線が埋まるほどの連符が。題名はなく、作曲者名も記されていない謎の楽譜。

 でもなぜか、この曲を知っているような気がした。


 そしていつの間にか時刻は午前零時を刻んだ。

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